MTVジャパンやユニバーサルミュージックなどで、次世代の“エンタテインメント×テクノロジー”の新規事業開発を担当してきた鈴木貴歩が、エンターテックの最新キーワードとキーパーソンを探ります。第4回は「チャット小説」について取り上げます。
LINEのようなチャット形式の会話でストーリーが展開する小説。主にスマートフォンで楽しまれており、画面をタッチするごとにコメントが進むため、どこまで読んだのかも分かりやすい。読者層はスマホの普及もあり、中高生を中心に小学生にまで広がる。昨年アメリカから人気に火が付き、海外の人気チャット小説サイト「HOOKED」は書籍アプリランキングで上位に入る。日本ではDMMが運営する「DMM TELLER」などがある。
「ケータイ小説」が日本中の女子中高生の間で大流行したのは約10年前。携帯電話といえばスマートフォンとなった現在、若者たちの間で人気を集めているのが「チャット小説」です。
昨年の7月にサービスを開始した「Balloon」は日本最大級のチャット小説サイト。プロだけでなく、一般ユーザーも作品を投稿できるプラットフォームで、現在6万を超える投稿作品を読むことができます。チャット小説は今後、エンタテインメント界をどう変える可能性があるのかを、開発者であるFOWDの久保田涼矢代表取締役社長に聞きました。

FOWD代表取締役社長
チャット小説では、どういったジャンルのものが人気を集めているのでしょうか?
久保田涼矢氏(以下、久保田) 恋愛とホラーが人気です。恋愛は読者層に若者が多いことが大きく影響していて。学校内での恋愛を描いた王道のストーリーもあれば、タレントとの妄想恋愛を描いたものもよく読まれています。例えば、人気K‐POPグループのマネジャーとなり、メンバーからチヤホヤされるみたいな話とか。
また、ホラーが人気なのは、チャット小説の特性である〝次にどういう会話が出てくるか分からないこと〟をうまく生かせるから。一方、SFやバトルものは情景描写がないと伝わりづらいため、まだチャット小説のフォーマットを確立できておらず、比較的数が少ないかもしれません。
ドロドロの恋愛系ばかりが人気を集めていた、ケータイ小説とは違ってきていますね。時代やデバイスの変化とともに、若者の文字の読み書きに対する意識も変わってきているんでしょうね。
久保田 スマートフォンが生活の中心となった今、若者たちはLINEにツイッター、インスタグラムなどを同時並行でやりながら、チャット小説を読んだりしています。意外と生活の中で文字に触れているんですよね。書くという観点で見ても、LINEで瞬発力が養われたり、ツイッターでは140文字内で論理的にまとめるなど、短文に関する文章力は、かなり鍛えられている気がします。
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