MTVジャパンやユニバーサルミュージックなどで、次世代の“エンターテインメント×テクノロジー”の新規事業開発を担当してきた鈴木貴歩が、エンターテックの最新キーワードとキーパーソンを探ります。第2回は「ブロックチェーン」について取り上げます。
ビットコインなどの仮想通貨の根幹技術として、近年注目を集める「ブロックチェーン」。海外では著作権の管理に用いるなど、エンターテインメントビジネスに活用する動きが活発です。日本でも、アーティストやクリエイターの人気を測る新たな指標となる独自通貨「CLAP」を、Onokuwaが昨年ローンチ。まずは音楽業界から注力していくといいます。ブロックチェーン技術を生かしたCLAPで、何を実現しようとしているのか、石谷優樹社長に聞きました。

Onokuwa社長
CLAPとは具体的にどんな指標で、どうやって使用するものなんでしょうか?
石谷優樹氏(以下、石谷) アーティストに対するファンの熱量を可視化することを目的とした指標です。現在、都内のライブハウスやカフェなど約30カ所に「CLAP SPOT」を設けていて、そこに足を運ぶとCLAPというポイントが発行される仕組み。それを、自分のお気に入りのアーティストに送ることができます。つまり、ファンがアーティストのために行動した総量を、CLAPで表すことができる。音楽ビジネスを「オリコンチャート」が支えてきたように、CLAPが次世代の音楽ビジネスや、クリエイタービジネスを支える指標になりたいという大きな目標があります。
CLAPが時代性を反映できていると感じるのは、「エンゲージメント(きずな・つながり)」という、SNS時代ならではの要素を指標にしているところだと思うんですが。
石谷 近年はSNSの普及に伴い、YouTubeの再生回数や、ツイッターのフォロワー数などが、音楽業界の新たな評価軸となっていますよね。ただその数を購入できてしまうビジネスが横行したり、フェイクフォロワーといった言葉が生まれるなど、実際のつながりが見えづらいのも事実。その点、“足を運ぶ”というエンゲージメントの高い行為がそのまま評価指標になっているのがCLAPの強みだと言えます。
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