長引く新型コロナウイルス禍で失われた友人との絆を再構築すべく、Z世代の間で今流行しているのは親しい仲間うちだけで投稿し合う「クローズドSNS(閉じたSNS)」だ。また、2000年ごろのファッションを示す「Y2K」の次として、「Y3K(3000年)」も注目を集める。若者研究の第一人者である原田曜平氏がZ世代の最新トレンドを紹介する。

(写真/Shutterstock)
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 2020年から3年も続いている新型コロナの影響で、若者たちが失ってしまったのが、仲のいい友人や知り合いとの絆だ。外出自粛など様々な制約によって対面で会う機会が極端に減り、今まで築いてきたつながりが希薄になってしまった。

 そんな中、若者の間で今、顕著なトレンドとなっているのが、限られた友人や知り合いの間だけで投稿などのコミュニケーションを行う、いわゆる「クローズドSNS」といわれる領域のツールだ。

 つまり、友人や知り合いとの絆を再構築するため、仲のいい“いつメン(いつものメンバー)”だけが参加し、投稿する限定的なSNSを使う頻度が増えている。従来のTwitterやInstagram、TikTokが、主に「広く・浅く」の関係構築に使われてきたのに対し、「狭く・深く」の関係を築こうとする動きが顕著になっているのだ。

 そうした状況下で、22年10月ごろ、クローズドSNSとしてヒットしたアプリが、「BeReal(ビーリアル)」。登録した仲良しのメンバーだけに1日1回、ランダムな時間にアプリから通知が届き、その通知から2分以内に自分の今の状況をスマートフォンで撮影し、投稿・共有する仕組み。撮りためた写真を投稿することはできず、写真の加工もできない。それぞれが素の自分の姿を送り、「この時間にどこで何をやっているか」を認識し合うことで、互いのリアルな日常を共有し、友情を育むという設計だ。

“盛れない”SNSのBeReal(画像/Google Playサイトから)
“盛れない”SNSのBeReal(画像/Google Playサイトから)

 こうした「今、どこにいるか」という極めてプライベートな状況を共有するツールとしては、15年に登場した位置共有アプリ「Zenly(ゼンリー)」が、若者の間で息の長い支持を得ていた。友人の現在地として地図上に示されたアイコンが、実際の移動に応じて動く仕組みで、それを見て友人に会いに行ったり、恋人同士で居場所を共有したり、メッセージを送り合ったりする使い方が一般的だった。

 しかし、そのZenlyは23年2月にサービスを終了。コロナ禍で遠のいてしまった友人とこのアプリを通じてつながっていた若者の間で衝撃が走った。この「Zenlyショック」もきっかけとなり、後釜となるツールを探し求める若者の動きが活発になっているのが現状だ。

「Zenlyショック」の後釜を狙うSNSが続々登場

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