1990年代後半以降に生まれた「Z世代」のヒットメーカーである、僕と私と(東京・渋谷)代表の今瀧健登氏(24歳)と、若者研究の第一人者・原田曜平氏の対談後編。宅飲みすごろくの「ウェイウェイらんど!」や食べられるお茶「咲茶(さくちゃ)」など、今瀧氏がZ世代ヒットを連発できる理由に迫る。

僕と私と代表の今瀧健登氏(写真右)と、原田曜平氏(写真左)
僕と私と代表の今瀧健登氏(写真右)と、原田曜平氏(写真左)
▼対談前編 「Z世代がハマる“宅飲みすごろく” 売り切れ続出、仕掛け人は24歳」

原田曜平氏(以下、原田) 「ウェイウェイらんど!」や「咲茶」、デジタルデトックスカフェ「HANARIDA原宿店」など、やることすべてが他の世代では思い付かないような斬新な試み。しかも、いずれもヒットしています。若者に受けている理由は何でしょう。

今瀧健登氏(以下、今瀧) シンプルにいえば、一番の理由は商品や店、サービス自体で本当にいいものをつくっていることだと思っています。少し前までは、品質がそれほど高くなくても広告の力で瞬間風速的にはやらすことができたかもしれません。しかし、若者たちも目が肥えてきているので、そうした“力業”で無理やりヒットさせることは難しくなっています。

 逆に商品自体がよければ、極論、放っておいてもSNSで拡散してくれる時代です。消費者に届ける手段はTwitter、Instagram、TikTokなど無数にあるわけで、いいものをつくりさえすれば、PR費をそれほど掛けなくても勝手に口コミが広がり、結果としてZ世代のトレンドを生み出せるのです。ウェイウェイらんど!も咲茶もデジタルデトックスカフェも、中身がいまいちなら、当然のことながらバズりません。

ドライフルーツ入りの茶葉まで食べられるお茶「咲茶」。Twitter上で若者を中心に大きな話題を呼び、2021年2月の発売から5日間で1カ月先の予約分まで完売した
ドライフルーツ入りの茶葉まで食べられるお茶「咲茶」。Twitter上で若者を中心に大きな話題を呼び、2021年2月の発売から5日間で1カ月先の予約分まで完売した

原田 ものづくりにこだわっている点は実に興味深い。日本のクラシカルな企業や職人は、「いいものさえつくっていれば売れる」と信じて、SNSなどでマーケティングをすることは、むしろ不要と考える風潮もありました。一方、若者に人気の韓国のブランドは、SNSを使ったPRがとてもうまく、コスメを中心にマーケティングの力で日本のZ世代の心をわしづかみにしているのが現状です。

 だから、自身もZ世代である今瀧さんもマーケティングを最も重視しているかと思いきや、日本のクラシカルな人たちと同様にいいものをつくることに主眼を置いているのは意外でした。

 ですが、世の中いいものをつくっても、やはり売れないことがあるのも事実。その中でヒットを生むコツはありますか。

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