SNSなどを通じて韓流のトレンドをキャッチし、いち早く取り入れる日本のZ世代。彼ら彼女らの間で近年大流行しているのが、東京・新大久保などに“上陸”している韓国式のセルフ写真館やプリントシール機(プリ機)だ。写真ならスマホで十分事足りる時代に、わざわざ店に行き、料金を支払ってまで撮影する若者が続出しているのはなぜか。韓国式写真の人気の秘訣に迫った。
東京・新大久保には韓国料理店などが密集する、コリアンタウンと呼ばれる一角がある。そのエリアから数分歩いた場所にある小さく細長いペンシルビル。そこに、多くの若者が出入りする写真館が店を構えている。韓国発のセルフ撮影スタジオ「刹那館」だ。
スタジオと呼ぶ個室には、数種類の椅子や撮影時に使う小道具が用意され、プロ仕様の一眼レフと撮影した写真が表示されるモニターが設置されている。“セルフ”という名の通り、被写体である顧客自身がカメラのシャッターボタンを押して撮影するスタイルだ。制限時間15分の間であれば何枚撮影してもいい。「平均すると約200枚。連続でシャッターを押し続けて800枚以上撮影する顧客もいる」と、店の共同オーナーであるACTIVE ASIA代表取締役社長の辻幸恵氏は話す。
利用できる時間は、撮影前の説明や撮影後の写真選びも含めて1組30分。その枠が土日祝日では11時の開店から20時の閉店までびっしりと埋まり、ひっきりなしに若い女性同士、カップルが訪れる繁盛ぶりだ。取材時に入籍記念で利用したという24歳の若いカップルに話を聞くと、「自分たちだけで人目を気にせずに撮影できるのが魅力。撮っている間も楽しかった」という。基本料金は撮影と2枚分の写真データ込みで3840円(税込み)だが、プラス980円(同)で、全ての写真データを受け取ることができ、「大半の顧客が全データを希望する」(辻氏)。
プロ仕様のカメラによる自撮り体験こそが価値
人気の秘訣は、若いカップルが話したように、自分たちしかいない部屋で本格的なカメラを使って自由に撮影できることだ。カメラマンの前だと照れてしまいそうなカッコつけたポーズやカップルの仲むつまじい姿も気兼ねなしに表現でき、シャッターを自分たちのタイミングで押せる。写真データを店側が見ることはなく、受け取り後は消去されるのも安心材料だ。
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