専用のミニボトルに分割された様々なハイブランドの香水が毎月届く、香水のサブスクリプションサービスが若者の間で支持を集めている。コロナ禍で驚異的な伸びを見せたのが、スタートアップのHigh Link(東京・渋谷)が提供する「COLORIA(カラリア)」。若者の心をつかんだ巧みなSNSマーケティングに迫った。

香水サブスクの「COLORIA(カラリア)」では、4ミリリットルに分割された香水が、専用のスプレー付きミニボトルに封入され、配達される。持ち運びに便利で、外出先でも使える
香水サブスクの「COLORIA(カラリア)」では、4ミリリットルに分割された香水が、専用のスプレー付きミニボトルに封入され、配達される。持ち運びに便利で、外出先でも使える

 2020年から21年にかけて、新型コロナウイルスの感染防止対策として政府から外出自粛が断続的に要請され、若年層の間でもステイホームが日常となった。そうした中、急激に利用者を伸ばしたのが、香水のサブスクリプションサービスだ。

 香水は高額な商品ともなれば1瓶数万円するものもあり、気分や季節に合わせて使うために複数を購入すれば出費がかさむ。また、1瓶では量が多く使いきれない場合も少なくない。その点、サブスクであれば、毎月1000円台半ばから2000円弱の月額料金を支払えば、様々な香水が手軽に試せるため、20代の女性を中心に利用が拡大しているのだ。

 香水サブスクには様々なスタートアップが参入している。その中で特に人気を博しているのが、19年1月からいち早く国内でサービスを始めた「COLORIA(カラリア)香りの定期便」だ。月額1980円(税込み、以下同)で、CHANEL、Chloe、HERMES、GUCCIなどを含む、約500種類のブランドの中から、毎月自分が好きな香水1種類を選んで届けてもらえる。2種類届けてもらう場合は3260円、3種の場合は4540円で、プラス500円、1000円を払うとJo Malone LONDON、CHRISTIAN DIORといった超高級香水も選択できるなど、プランは多様だ。

 香水は4ミリリットル分を小型のアトマイザー(スプレー付き専用ミニ容器)に入れて郵便ポストに配達される。4ミリリットルは1日1~2回のプッシュで約1カ月持つ容量という。毎月自分が試してみたい香水を選ぶ方法と、LINEで香水に詳しいコンシェルジュに相談して選ぶ方法がある。現状で利用者の95%が女性であり、20代が6割を占めていることから、若い女性に人気のサービスであることが分かる。

カラリアのWebサイト。サブスクで利用できる商品は香水が大半だが、その他ルームフレグランスやバスグッズなども選択できる
カラリアのWebサイト。サブスクで利用できる商品は香水が大半だが、その他ルームフレグランスやバスグッズなども選択できる

 興味深いのは、コロナ禍でステイホームが日常となった20年3月から利用者が急激に伸び、11月初めには7倍以上に激増したことだ。外出自粛で人と会わなくなれば、香水を付ける機会も減るはず。それなのになぜ香水のサブスクが伸びたのか。

利用者数7倍以上、そのワケは?

 カラリアを運営するHigh Linkの南木将宏代表取締役CEOはこう話す。「在宅時間が多くなる中、肌に付けたり、日中の部屋や寝るときのベッドにスプレーしたりと、好きな香りの中で過ごす“自宅使い”が一気に伸びた。毎月香りを変えられ、単調になりがちな巣ごもり生活で気分転換できる点も受けた」。外出時に“相手”に好印象を持ってもらうためのアイテムだった香水が、在宅で“自分”の気分を上げるためという新たなニーズを得て、利用が大きく跳ね上がったのだ。

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