若者研究の第一人者・原田曜平氏が主催する、高校生・大学生のプレゼン大会で挙がった今どきの若者ヒットの理由を探る本連載。今回は、2019年に社会現象を巻き起こした“タピオカブーム”の火付け役であるグルメ系インフルエンサー、りょうくんグルメを直撃。女子高生、女子大生に圧倒的な人気を誇る若者グルメのトレンドセッターに女子に響くSNSマーケティングのコツを聞いた。

話題のりょうくんグルメ。Twitterのフォロワー数は約44万、Instagramは約28万と、特に若い女性に人気のグルメ系インフルエンサー
話題のりょうくんグルメ。Twitterのフォロワー数は約44万、Instagramは約28万と、特に若い女性に人気のグルメ系インフルエンサー

グルメSNSの“情報格差”に気付く

 あなたは「りょうくんグルメ」を知っているだろうか。

 30代以上の世代に聞いたら十中八九「それって誰?」と答えるだろう。しかし、10代~20代前半の、特に女性では知らない人の方がまれかもしれない。それほど、若い世代に浸透しているグルメ系インフルエンサーがりょうくんグルメだ。

 本名は非公開、宮城県出身で現在31歳。「まじでこの世の全ての〇〇に教えてあげたいんだが…」という独特の言い回しで、毎日グルメ情報を発信する。2020年4月には、ビジネス書『まじでこの世の全てのSNSでバズらせたい人に教えてあげたいんだが。』(KADOKAWA)の出版も予定しており、今乗りに乗っているインフルエンサーだ。

 そんな彼を一躍有名にしたのが、19年に日本列島を席巻した“タピオカブーム”。実は、彼こそが知る人ぞ知る、タピオカドリンク大流行の仕掛け人と言われているのだ。一体どんな人物なのか。

りょうくんグルメは、タピオカドリンクの情報を早い段階から拡散してきた
りょうくんグルメは、タピオカドリンクの情報を早い段階から拡散してきた

 りょうくんグルメは、元々、2年ほど前まではプライベートアカウントで細々とグルメ情報を発信する、一般的なSNSユーザーに過ぎなかった。だが、「いつか影響力のあるインフルエンサーになる」という野望は胸に秘めていた。そうした中、目にとまったのが17年からTwitterで情報を発信し、人気を博していたあるグルメ系インフルエンサーの投稿だ。

 「当時、Twitterでグルメ情報を発信しているインフルエンサーはほとんどいなかった。一方でInstagramにはグルメ情報の投稿が数多くあった。僕が目を付けたインフルエンサーは、このSNSプラットフォーム間の“情報格差”を利用し、インスタで最新のグルメ情報を収集し、その中で自分が良いと思った店に行ってTwitterに投稿することでバズっていた。このカラクリを分析して突き止めた」と、りょうくんグルメは振り返る。

 これは、米国で流行っている最新トレンドを日本にいち早く導入する、いわゆる“タイムマシン商法”と同じやり方だ。ただし、単にものまねをするのでは芸がない。

 何か盲点はないか。そう意識して既存のグルメ情報発信者の傾向を探ると、ある発見があった。それは、大半が“男性目線”の紹介であることだ。取り上げるメニューはガッツリ系が多く、価格も高め。大人向けの店も多かった。「であれば、自分は完全に逆を行こうと。つまり、キーワードは女性目線。10代の若い女性をターゲットに、価格が手ごろで、彼女たちが行きたくなるような店を紹介すれば、既存のインフルエンサーに勝てると思った」と、りょうくんグルメは話す。

 早速、若い女性の食べ歩きの“聖地”である新大久保に情報収集をしに出向いた。すると、行き交う若者たちがホットドッグにたっぷりのチーズを入れた「チーズドッグ(チーズハットグ)」を手に持っている姿が目に飛び込んできた。「これって、一般の人は知らないグルメだ」。そう思ってTwitterに投稿すると、一気に10万以上の「いいね!」がつき、瞬く間に拡散。想定以上の反応だった。