15秒のショートムービーで自分を表現するSNS「TikTok」。若い世代の利用者が多数を占め、企業プロモーションの場としても注目されている。そんなTikTokで活躍するインフルエンサー、こたつ氏、ゆり(まだない。)氏、かなた氏の3人と、マーケティングアナリストの原田曜平氏が座談会を行った。TikTokでブレイクしたきっかけとは?
原田曜平(以下、原田) まずは、TikTokを始めてからインフルエンサーとなるまでの経緯を教えてください。
ゆり(まだない。)(以下、ゆり) 私は、もともとニコニコ動画で歌い手として活動していました。ボーカロイドのカバーをしていたのですが、そこでは歌声だけだったので、ビジュアルや自分の個性を出すには限界があると思っていたんです。そんな時、TikTokは15秒間で気軽に投稿できる動画媒体だと聞いて。ここなら歌だけではなく面白いネタやビジュアルも表現できるのではないかと、活動を始めました。
歌の動画を作る場合、1曲作成するのに録音から補正、ミックスする時間を含めて8〜9時間はかかってしまうんです。でも、15秒間の動画だったら手軽にできる。そのままハマってしまった感じです。
原田 なるほど。音声だけでは物足りなくて、ビジュアル、特に動画で自己表現がしたいと。加えて、それまで難しかった動画編集が手軽にできるという、まさにTikTokの特徴そのままが動機だったんですね。ちなみに、ゆりさんは、なぜ髪の色を緑色にしたんですか。
ゆり みんなに覚えてもらいやすいようにというのと、おしゃれなキャラクターという印象を与えたくて、思い切って好きな色に変えてみました。
原田 ビジュアル表現を重視しての緑髪、ということか。確かにTikTokは、まずアイキャッチがあることが動画をスワイプされず、ユーザーに目を留めてもらう上では重要ですからね。僕も僅かに残る髪を緑にして、TikTokに載せてみようかな(笑)。ゆりさんは、これまでで一番自信のある動画は何ですか?
ゆり 皆さんに私を知ってもらうきっかけになったのは、チベットスナギツネのまねをした動画(http://vt.tiktok.com/JBnbpg/)です。目が細いキツネのものまねを、耳に残る音楽に合わせてやったら、思いの他受けてしまって(笑)。
当時の女子ティックトッカーは、かわいく見せる動画が多かったのですが、「まさかこんなシュールなモノマネをする女の子がいるとは」と、珍しがられたのではと思います。ここから、フォロワーが16万人くらいまで増えていきました(19年5月29日現在)。
原田 そうか。TikTokユーザーは大量の動画を見るから、差別化された動画ならスワイプする指がピタッと止まるんですね。こたつさんはどうですか。
こたつ 僕は帰国子女で、幼稚園から高校までインターナショナルスクールに通っていました。映画やドラマが好きだったので、大学進学をやめて、俳優専門学校に2年間通いました。とにかく有名になりたいという気持ちがあって。じゃあどうすればいいかと考えたとき、「特技の英語と演劇を融合させた動画を発信したい」と思ったのが、TikTokを始めたきっかけです。
原田 かなりユニークな経歴ですね。インターナショナルスクールということもあって、自己表現するのが苦手ではなく、好きになった面もあるのかもしれませんね。
こたつ 大学を卒業して会社に就職する普通の生き方が嫌で、どうせ一度きりだったら、誰もやったことのない人生を歩みたいと。俳優学校に通いながらオーディションをいくつも受けましたが、行きたかった事務所に受からなくて。そのときにTikTokを始めて、たまたま「全力○○(全力顔)」シリーズを作り、多くの人に受け入れられたんです。今はTikTokを始めてから1年ほどで、フォロワーは93万人ほどになります(19年5月29日現在)。
僕は、TikTokでメインになっていた「音楽に合わせて踊る」動画ではなく、最初から最後まで自分のストーリーを作って1つの小さな映画のようにまとめた動画(http://vt.tiktok.com/JB5NKN/)を公開してきました。それが受けたのではないかと思っています。
TikTokで受ける秘訣とは?
原田 ゆりさんもこたつさんも、差別化というか、「そこにないもの」を作ったわけですね。
こたつ そうです。TikTokは、どれだけ人と違うものを生み出せるかが勝負だと思っているので。
原田 でも、単に人と違うものを作れば良いというわけではないですよね。ほかの必要要素は何だろう。
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