若者研究の第一人者・原田曜平氏が主催する、高校生・大学生のプレゼン大会。そこで挙がった今どきの商品・サービスから、若者ヒットの理由を探る本連載。今回は、大行列の新型プリントシール機(プリ機)の最新トレンド。時代は、“盛る”から、撮影プロセス自体を楽しむ仕掛けへと変化していた。
これまでプリントシール機は、目の部分を大きく見えるように修正したり、美肌やみずみずしさ、透明感を出したりするなど、画像補正機能を使っていかにかわいく“盛れる”かが、人気を左右してきた。近年は、写真シールだけではなく撮影した画像をデータでも取得できるため、めいっぱい盛った写真を友達にSNSで拡散する人も少なくない。すなわち、重視されていたのは「静止画」だった。
しかし、このトレンドの潮目を変える斬新な機種が相次ぎ登場している。仕掛けているのは、業界シェアトップのフリューだ。例えば、同社が18年10月から展開している「トキメキルール」。この機種には、撮影カメラの横にスマートフォンを置ける台「ムービースポット」が設置されており、色とりどりのLEDライトがキラキラ光る中で撮影している様子を、自分のスマホでも動画として残せるのが新しい点だ。
「以前からプリ機の荷物置き場にスマホを置いて、撮影した動画をSNSに投稿している高校生が多かった」(フリュー)ことが、開発のきっかけになった。プリ機のカメラのシャッターが下りる瞬間、サプライズで友人や恋人にプレゼントを贈り、その驚く様子をスマホの動画でも撮るという使い方が特に目立っていたという。
もう1つ、トキメキルールの開発を後押ししたのが、InstagramのストーリーズやTikTokなどの普及で、若者の間では、もはや静止画ではなく動画をSNSに投稿するのが当たり前という世界に変わったことがある。リアルな写真シールを残せるプリ機自体の価値は残しつつ、トレンドの動画対応をするにはどうすべきか。そこでフリューが編みだしたのが、自らスマホ動画を撮って、プリ機の撮影プロセスも楽しめるようにすることだった。
仕組みとしては、要は単純にスマホを置ける場所を作っただけなのだが、その効果は絶大。従来の荷物置き場にスマホを置くのと違って、ムービースポットは動画をほぼ真正面から撮れるからだ。その配慮が高校生の心を射止め、トキメキルールは導入開始から半年以上が経過した現在、フリューが展開するプリ機の中でもトップ3に入る人気機種に躍りでている。
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