アマゾン対抗策を模索する米ウォルマート。特集第5回ではウォルマートがメンズファッションEC「ボノボス」などECスタートアップを相次いで買収し、優れたデジタル人材を集めていることを指摘した。だがデジタルインテリジェンス取締役の榮枝洋文氏はその背景に、米経済界に広がる大きなトレンドの変化があると言う。

「ボノボス」創業者のアンディー・ダン氏は自社のことを、「自社企画・製造の商品で顧客を熱中させるブランド」という意味を込めて、「DNVB」(デジタリー・ネイティブ・バーティカル・ブランド)と呼ぶ
「ボノボス」創業者のアンディー・ダン氏は自社のことを、「自社企画・製造の商品で顧客を熱中させるブランド」という意味を込めて、「DNVB」(デジタリー・ネイティブ・バーティカル・ブランド)と呼ぶ

 ご存じの人も多いだろうが、マーケティングには軍事用語からの転用が多い。典型はターゲット(標的)という言葉であり、ストラテジー(戦略)、タクティクス(戦術)、キャンペーン(作戦)などもよく使われる。「OODAループ」(観察、状況判断、意思決定、行動を繰り返す)という理論などは提唱したのは米軍大佐であり、その元をたどると「孫氏の兵法」に行き当たるという。

 だが昨今は、こうした言葉をうかつには使えない空気がある。考えてみればそれも当然だ。生活者は企業の標的として弾を当てられたいわけではない。望まないインパクト(衝撃波)を与えられて、「刈り取り」されたくはないだろう。

 「マーケティングの主語が企業から生活者へとシフトしている」などといわれて久しいが、これは単なる美辞麗句、キャッチフレーズではない。企業マーケティングのあるべき本質の変化を象徴している。

 ウォルマート自身や、メガネEC「ワービーパーカー」などウォルマートが買収している「DNVB」(デジタリー・ネイティブ・バーティカル・ブランド)企業、そしてアマゾンはこうした変化を認識し、新しいトレンドに対応したマーケティングを展開している。それを一言で表すなら、企業と生活者との関係を「家族」のようなものと捉えたマーケティングである。

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