日本のリゾート業界で異彩を放つ星野リゾート。成長を続ける“リゾート運営の達人”の成功の秘密を、デザインの視点で分析する特集。今回は個性際立つリゾート「星野リゾート 青森屋」が、スタッフのアイデアによってどんどん成長していく様子に迫る。

露天風呂「浮湯」を灯篭が彩る冬限定の「ねぶり流し灯篭」
青森県・三沢空港から車で約20分。青森県に3施設ある星野リゾートのうち、太平洋側の三沢市にあるのが「星野リゾート 青森屋(以下、青森屋)」だ。星野リゾートの4つのブランド以外の拠点のなかでも特に個性的な施設で、「目一杯」「徹底的に」を意味する「のれそれ」という津軽弁を取り入れ、「のれそれ青森~ひとものがたり」をコンセプトに掲げる。
このコンセプトに基づき、青森ならではの文化を人の温もりとともに提供する青森屋は、まるでテーマパークのようだ。施設内では、青森をモチーフにしたイベントが多数繰り広げられ、週末だけでなく平日も多くの人々でにぎわう。宿泊客の半数は、首都圏から訪れる。
青森屋は1973年に「古牧グランドホテル」としてオープンしたが、次第に客足が減るなど2004年に経営破綻。2005年から星野リゾートが事業再生に乗り出した。25年ほど勤める乙部春夫・料理長は「入社した頃は1日に結婚式が10組以上、それぞれ200~300人の団体客がやってきた。1日の宿泊客2000人という時代だった」と振り返る。
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