※「日経デザイン6月号」(2017年5月24日発行)の記事を再構成

前号から始まった連載「アーキテクチュアル・シンキング アイデアを実現させる建築的思考術」。建築系の出身でありながら、現在は建築系以外の分野で活躍するデザイナーやクリエーターなどの方々にインタビューし、発想の原点を探っていく。今回はデジタルクリエーターとして知られる、tha ltd.の中村勇吾氏の後編。

デジタルクリエーター中村勇吾氏「構造」から発想する新たな表現(画像)
中村 勇吾氏(左)
なかむら ゆうご●ウェブデザイナー/インターフェースデザイナー/映像ディレクター。1970年奈良県生まれ。東京大学大学院工学部卒業。多摩美術大学教授。98年よりウェブデザイン、インターフェースデザインの分野に携わる。2004年にデザインスタジオ「tha ltd.」を設立。以後、数多くのウェブサイトや映像のアートディレクション/デザイン/プログラミングの分野で横断/縦断的に活動を続けている。主な仕事に、ユニクロの一連のウェブディレクション、KDDIスマートフォン端末「INFOBAR」のUIデザイン、NHK 教育番組「デザインあ」のディレクションなど。主な受賞に、カンヌ国際広告賞グランプリ、東京インタラクティブ・アド・アワードグランプリ、TDC賞グランプリ、毎日デザイン賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞など

西澤 明洋氏(右)
にしざわ あきひろ●ブランディングデザイナー/株式会社エイトブランディングデザイン代表。1976年滋賀県生まれ。企業のブランドから商品・店舗開発など幅広いデザイン活動を行っている。「フォーカスRPCD®」という独自のデザイン開発手法により、リサーチからプランニング、コンセプト開発まで含めた、一貫性のあるブランディングデザインを数多く手がける。主な仕事にクラフトビール「COEDO」、抹茶カフェ「nana’s green tea」、ヤマサ醤油「まる生ぽん酢」、福岡「警固神社」など。BBTオンライン講座講師。著書に『ブランドをデザインする!』など。NHKworld『great gear』出演

西澤 建築のデザインを考える場合、建築を成り立たせるための柱や梁(はり)などの構造体がある上で、付加的に装飾を張り付けるようなケースがある一方、逆に構造自体が表現の主体となるようなケースがあります。中村さんのお仕事にも、そういった例はあるのでしょうか。ウェブでも、構造はむき出しだけど美しいものとか。

中村 私の分野でも明確にアーキテクチャーという部分はあります。コンテンツの面白さとか形の美しさがある一方で、フェイスブックの「いいね!」ボタンのように、いろんな人とつながるコミュニケーションの仕組みに意味がある場合もある。「いいね!」ボタンのデザインがいいかどうかではなく、そういった仕組み自体を考えることが重要になるわけです。これもアーキテクチャーと言うべき点でしょう。