※「日経デザイン5月号」(2017年4月27日発行)の記事を再構成

「アーキテクチュアル・シンキング アイデアを実現させる建築的思考術」では、ブランディングデザイナーの西澤明洋氏が、建築系の出身でありながら、現在は建築系以外の分野で活躍するデザイナーやクリエーターなどにインタビューして、発想の原点を探っていく。最初に登場するのは、東京大学で土木や建築を学びつつも、現在はデジタルクリエーターとして知られるtha ltd.の中村勇吾氏の前編。

中村 勇吾氏(左)
なかむら ゆうご●ウェブデザイナー/インターフェースデザイナー/映像ディレクター。1970年奈良県生まれ。東京大学大学院工学部卒業。多摩美術大学教授。98年よりウェブデザイン、インターフェースデザインの分野に携わる。2004年にデザインスタジオ「tha ltd.」を設立。以後、数多くのウェブサイトや映像のアートディレクション/デザイン/プログラミングの分野で横断/縦断的に活動を続けている。主な仕事に、ユニクロの一連のウェブディレクション、KDDIスマートフォン端末「INFOBAR」のUIデザイン、NHK教育番組「デザインあ」のディレクションなど。主な受賞に、カンヌ国際広告賞グランプリ、東京インタラクティブ・アド・アワードグランプリ、TDC賞グランプリ、毎日デザイン賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞など

西澤 明洋氏(右)
にしざわ あきひろ●ブランディングデザイナー/株式会社エイトブランディングデザイン代表。1976年滋賀県生まれ。企業のブランドから商品・店舗開発など幅広いデザイン活動を行っている。「フォーカスRPCD®」という独自のデザイン開発手法により、リサーチからプランニング、コンセプト開発まで含めた、一貫性のあるブランディングデザインを数多く手がける。主な仕事にクラフトビール「COEDO」、抹茶カフェ「nana’s green tea」、ヤマサ醤油「まる生ぽん酢」、福岡「警固神社」など。BBTオンライン講座講師。著書に『ブランドをデザインする!』など。NHKworld『great gear』出演

西澤 本日はありがとうございます。まず、今回の「アーキテクチュアル・シンキング」という連載企画の経緯からお話をさせていただきます。僕は現在、ブランディングデザインを専門にしていますが、もともとは京都工芸繊維大学で建築を学ぶところからデザインの勉強をスタートしています。そこから建築への道は歩まず、一度メーカーに就職してプロダクトデザイナーとしてキャリアを積んだあと、独立・起業してから、現在のブランディングデザイナーとしての活動を開始しています。

 僕らが卒業したときは、ちょうど不況だったのか、建築だけではなく、さまざまな分野に就職された方が多いようです。しかし、そうした方々が、今や建築以外の分野ながら、それぞれの第一線でクリエイターとして注目を集めています。中村勇吾さんもデジタルクリエイターとして有名ですが、本来は建築学科出身ですよね。

中村 そうです。当時は製図ばかり描かされていました(笑)。

このコンテンツ・機能は有料会員限定です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
この記事をいいね!する