デザイン思考の手法によるユーザー観察から商品企画までを紹介する連載。今回は、パーソナルトレーニングの現場に密着する。45歳男性は、「最近モテるでしょ」と女性から言われ、30歳女性は、「肩凝りが消えた」と、それぞれ筋トレの効果を実感する。彼らの言動に商品開発のヒントを探った。

仕事への良い効果を実感

 東京・渋谷にある整骨院の奥にトレーニングルームがある。林見則幸さんは、ここで週1回パーソナルトレーナー、久宗健太さんの指導を受けている。

 準備運動の間は、雑談で打ち解けた雰囲気が漂う。しかし、トレーニングはハードだ。林見さんは、腹筋などの体幹トレーニングやマシン、ゴムバンドを使ったメニューをこなしていく。トレーナーは「もう少し頑張りましょう。あと2回です」と声を掛け、限界まで追い込んでいく。林見さんの表情は、かなりきつそう。汗も相当かいている。苦しさのあまり、しゃがみ込んでしばらく立ち上がれない場面もあった。

 林見さんは、こうした厳しいトレーニングを続ける動機について、「自信をつけてモテたいから」と率直に語る。もともと、アトピー性皮膚炎のため、人前で肌を見せることを避けていたという。それがエステに通い、また良い注射薬と巡り合えたこともあって肌の状態は改善した。これに気を良くして、ネイルや脱毛にも通うようになった。その効果はすぐに表れた。「女性から爪がきれいと言われることもある。敬遠していたプールや温泉にも行けるようになり、この歳で青春を取り戻している」と林見さん。

 林見さんは、美容関連のサービスに毎月15万円を出費しているという。都内で発送代行会社を経営していることもあり、お金と時間に比較的余裕があるようだ。

 美容の次は体力だと、林見さんは、スポーツジムにも通い始めた。しかし、こちらは長続きせず、7つのジムを渡り歩くことになる。当時の自分を林見さんは「スポーツジム難民だった」と語る。「マシンを使いたくても混んでいることが多い」ことも足が遠のく原因だった。そこで、パーソナルトレーニングを受けることを決心した。

 トレーニングの効果もすぐに表れた。「体形が変わり、姿勢が良くなった」と林見さんは語る。10年ぶりに再会した女友達から「変わったね。最近モテるでしょ」と言われるなど、他人の見方も明らかに変わった。パーソナルトレーニングの料金は1回5000円(税込み)。だが、十分に元が取れる投資だと考えている。

プロフィル
林見則幸さん
45歳
居住地:東京
職業:会社経営

パーソナルトレーニング
頻度:週1回
始めたきっかけ:体重が増え、礼服が入らなくなったから
目的:筋力アップ、腰痛改善

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