オブザベーションから商品企画までの流れを実際の例に即して紹介する連載。今回のテーマは注目を集める「パーソナルトレーニング」。実際のトレーニング現場を観察した結果をリポートする。

●オブザベーションから商品企画までの流れ
●オブザベーションから商品企画までの流れ

 健康志向の高まりを受けて、フィットネスクラブの利用者が増えている。経済産業省の調査によると、2017年のフィットネスクラブの個人会員数は252万人で5年前より2割増加した。

 そんな中、大きな注目を集めているのが、パーソナルトレーニング(以下、パーソナルトレ)だ。パーソナルトレは、通常、1人のユーザーに対して、トレーナーが1人ついてトレーニング方法などを指導するサービス。同サービスを展開するライザップは、「結果にコミットする」というCMで一躍有名になり、18年9月には同事業の累計会員数が12万人を突破した。

 パーソナルトレの人気が高まる背景には、既存のフィットネスクラブへの不満がある。フィットネスクラブには、多様なトレーニング機器が置かれている。こうした機器の中には使い方が分かりにくいものもあるが、多くの客を相手にするトレーナーが時間をかけて丁寧に説明してくれるとは限らない。よく分からないまま、誤った使い方をすれば、けがにつながることもある。混雑時には、目的の機器を利用するため順番待ちになることも多い。

 こうしたことが原因で、フィットネスクラブの会員になっても、モチベーションを維持できなかったり、期待した効果を得られなかったりという理由で、退会する人は少なくないようだ。

 マーケティングリサーチやパッケージデザインを手掛けるプラグの協力の下、3組のパーソナルトレ現場を観察した。観察対象のユーザーたちが共通して語ったのも、先述したような既存のフィットネスクラブへの不満だった。彼らはパーソナルトレのサービスと得られた効果に満足していた。

プラグのリサーチ担当者がパーソナルトレーニングの現場を観察した
プラグのリサーチ担当者がパーソナルトレーニングの現場を観察した

 市場拡大とともに、各社は駅の近くなどの好立地にフィットネスクラブを増やしている。一方で、そこからこぼれ落ちるユーザーも増加。その受け皿として、パーソナルトレサービスが拡大するという構図がある。

 パーソナルトレ市場には、ライザップのような有名企業の他、インストラクターが独立してマンションの1室をジムに改装して起業するケースや、会社員が趣味で始めたトレーニングを生かして、副業で始めるケースなどさまざまだ。こうした個人レベルのパーソナルトレーナーに時間貸しする小さなトレーニングジムも登場するなど、パーソナルトレが拡大する環境は整いつつある。

 今回、観察の前にトレーニングやスポーツなどへの意識を探るため、5501人を対象に、プラグがアンケート調査を実施した。日ごろの運動について聞くと、最も多かったのは「ウオーキング」で27.4%、2位が「スポーツジム、フィットネスクラブ」で10.9%、3位は「ジョギング」で、9.7%だった。「パーソナルトレーニング」は、0.9%。知られ始めて間もないサービスであることを考えれば、この割合はさらに拡大すると思われる。

 次回は、39歳の女性を観察した結果を紹介する。

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