「日経クロストレンド」は2018年4月、国内のどの企業や商品ブランドが、消費者の「買いたくなる」気持ち(購入意欲)の喚起に長けているか、などを探るべく、5600人規模の消費者アンケートを実施した。その調査結果である「マーケティング実力ランキング300」について解説する。前回(1回目)は、300社のトップに輝いたカルビーの成功要因を探った。この2回目は、「購入意欲」と相関の強い項目、弱い項目の違いについて解説する。
「マーケティング実力ランキング300」の第2位はハーゲンダッツだった。「商品・サービスの魅力」が全300社中トップで、商品企画力の高さが評価されている。2月末から期間限定で発売した和テイストの「華もち」シリーズ「桜あん」「栗あずき」の売れ行きが好調だったタイミングでアンケート調査日を迎えた。

15年2月に第1弾商品「きなこ黒みつ」「みたらし胡桃」をリリースした際は、ものの数日で在庫が払底し、安定供給ができないことから販売中止を余儀なくされるほどの人気を博した。SNSで「おいしそう」「食べたい」という前評判が高まり、「おいしかった」という感想ツイートが想定を超える買いを呼んだ格好だ。17年2月に第2弾として「きなこ黒みつ」「ごま胡桃」を販売し、今回は第3弾。一時期の熱狂は落ち着き、安定した人気を見せている。
SNSはときに爆発的な人気を呼び起こして需要予測担当のマーケターを悩ませるが、ハーゲンダッツはそのSNS人気に支えられている商品でもある。Instagramで、「#ハーゲンダッツ」のハッシュタグ付き投稿は実に66万件を超え、アイス商品の中で群を抜く存在だ。「今週も頑張った自分にご褒美」という"至福の時間"をアピールする際の投稿素材として、同社商品はうってつけの存在になっている。CMで流れるキャッチコピー「幸せだけで、できている」も、この気分をとらえたものだ。
アイスクリームの中では高価格帯の同社商品群だが、品質の高さから価格はハンデにならず、ご褒美としてケーキではなく同社商品を選ぶことでむしろお得感すら感じられる独特のポジションを築いたのが、強さの秘訣と言えそうだ。
広告は購入意欲を喚起できず!? 商品の魅力+好感→購入促進
ハーゲンダッツは、「商品的魅力」が「購入意欲」を後押しする形でランキング2位に躍り出た。ほかに「購入意欲」を押し上げる役割をする要素はあるのだろうか?
本調査では、主要BtoC商品・サービスを展開する350企業・ブランドを対象に、「商品」「価格」「広告」などの魅力を尋ね、「好感度」「購入意欲」「推奨意向」を質問している。例えば「価格」的魅力で支持が多い順にランキングすると、100円ショップが上位にランクインするなど、顔ぶれは項目によって変わってくる。
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