香取慎吾を起用したファミリーマートの「炭火焼きとり」「お母さん食堂」のCMが立て続けにヒット。前々回でその戦略やヒットの要因を探り、前回でクリエイティブディレクターを務めるシンガタの権八成裕氏を紹介した。今回は、権八氏がどのように香取出演シリーズを作り出したのかを深掘りする。

「炭火焼きとり」CMではメロディーや香取の見え方に一工夫
ファミリーマートからのオファーを受け、権八氏がまず行ったのは店舗リサーチだ。店舗に行くたび耳にしたのが、入店音のメロディーだ。第1弾CMでも第2弾CMでも、そのメロディーが活用された。
「実際の入店音はもう少しテンポが遅くて、そのテンポで会話をすると、セリフがCMの尺に入らないんです。かといってテンポを速くし過ぎるとファミマの入店音っぽくなくなるので、どのスピードなら成立するのか、何度も検証してから撮影に臨みました。
ストーリーで意識したのは、香取くんの見え方です。よく考えると、ひどい話じゃないですか。見ず知らずの人が香取くんに『♪何それ、スゲーうまそうじゃん。1本くれよ』って話しかける。それも不条理な話ですけど、子どもが『1本ちょうだい』と言ってるのに『それはダメ~』という香取くんもいじわる(笑)。そのままだとみんなが欲しがってるのにあげないケチな人、みたいに見えるので、最後に『♪芸能人のくせにドケチだな~』と理不尽な理由で責められる構図にして、香取くんをかわいそうなキャラにしました」
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