クリエイターファイル2「永野広志」

読売広告社のコピーライターでCMプランナーの永野広志氏
読売広告社のコピーライターでCMプランナーの永野広志氏

 永野氏は06年読売広告社入社。6年間の営業局勤務を経て、12年にクリエイティブ局のコピーライター、CMプランナーとなった。これまで、ぺんてる、東急ハンズ、桃屋、などを手掛け、近作には栗山千明と平泉成が出演した「BookLive!コミック」のCMや、明治のウェブ動画「大人のチョコスナック6秒劇場 きの子と竹彦」などがある。視聴者が思わず笑ってしまうような、エンターテインメント性の高いCMが多い。

 「CMを作るうえで大切にしているのは、自分がまず、面白いと思えるかどうか。ずっと業界にいると、作り手やクライアントの目線になってしまいがちですけど、普通に視聴者としてCMを見ても、『面白かったな』と思えるものにしたいと思っています」(永野氏)

 16年のムロツヨシの起用も、永野氏と及川氏の提案だ。今でこそムロはCM契約7社を誇る、男性でも4位の人気タレント(日本モニター調べ「2018年上半期タレントCM起用社数ランキング」)。しかし起用当時は「CMはまだ2~3社だった」(永野氏)という。この伸びしろを見据えた先見性と、細部にまでこだわって作り上げたインパクトが、今年のCMヒットにつながった。

 「ムロさんの顔と、子役の体がちょっとでもズレると面白さが半減するので、合成には力を入れましたね。子役の体形にもこだわりました。去年の『懐かしの味』編に出てきた少年時代のムロさんは、半ズボンで太ももがピチピチだったんです。今年登場した妹も、同じようにピチピチがいい。それでまずは女の子で体を探してたんですが、なかなかイメージに合う子がいない。オーディションの途中で『女の子より、男の子の体のほうがいいんじゃないか?』と考えて、最終的には去年、ムロさんの少年時代の体を演じてもらった男の子に、今年の妹の体もお願いしました(笑)」(永野氏)

ムロツヨシ起用シリーズで年々好感度が上昇

 ムロを起用した16年の年間CM好感度はCM総研が発表している上位1000位中686位。それが17年には453位に飛躍しており、今年はさらに上昇しそうな勢いだ。好調の要因を、永野氏は「見せるべき商品の情報と、テレビの前の人を引きつけるエンターテインメント性のバランスをニッスイさんと僕らで共有できていることが大きい」と話す。及川氏も同意見だ。

 「企画段階から考えると、もう10年近く携わらせていただいています。年々信頼していただけるようになって、今ではわりと自由に、足かせなく企画をさせていただいている。それが、テレビを見ている人に『面白い』と思ってもらえる企画につながっているのかもしれません」(及川氏)

 出てくる人物はみんなムロだらけ――。アクの強い企画を実現できたのは、クリエイターと企業が築き上げた信頼関係の力も大きいようだ。

(写真/三川ゆき江)