クリエイターファイル1「及川貴雄」

スリーディーのクリエーティブディレクター・及川貴雄氏
スリーディーのクリエーティブディレクター・及川貴雄氏

 及川氏は00年に読売広告社に入社し、クリエイティブ局のCMプランナー・コピーライターとしてキャリアをスタート。その後、統合プロモーション局に転属し、商品開発、ウェブプロモーション、PR戦略、オウンドメディアなど幅広い施策を手掛けた。16年に独立し、スリーディー(ddd inc.)設立。以降、サンスター「Ora2」のコンセプトメークやパッケージングを含めた広告全般、アイデムのオウンドウェブメディア「ジモコロ」などを手掛けている。また防衛省の募集広報にも携わり、災害や事故の際に役立つ自衛隊員のワザを紹介するウェブ動画「LIFEHACK」を企画。18年8月には『自衛隊防災BOOK』(マガジンハウス)として書籍化され、発売から1カ月で10万部突破のベストセラーとなった。

 「CM制作で大事にしているのは、人々の印象に残ること。そのために『面白い』『気持ちいい』『おいしそう』というような、人間の一番シンプルな感情に訴えるものを意識しています。ただし、もうCMを作って終わり、という時代ではない。ウェブでどう話題が広がっていくのかなども考えたうえで、総合的な企画をするようにしています」(及川氏)

 「やき おにお」も、及川氏ならではの総合的な企画だ。

 「09年当時、日本水産さんが募集していたのは、主に店頭プロモーションの企画でした。『商品の発売から20周年。せっかくなので、お皿のプレゼントなどではなく、ブランドの財産になるようなキャンペーンにしたい』とおっしゃってました。商品のパッケージを見ると、特徴的なデザインのおにぎりの写真が入っている。そこに入っていけるような、店頭をにぎやかにしてくれるキャラクターがいたらいいのではないかと考えました」(及川氏)

 日本水産は及川氏のキャラクター展開を採用したが、「不安もあった」と木幡氏は明かす。

 「それまで弊社は、商品キャラクターを作って全面的に押し出す企画をあまりやったことがなかったんです。それで09年は、取りあえず店頭とウェブだけで展開していたのですが、『せっかくキャラクターがあるんだから、もっと活用したら?』と社内で声が上がってきて。翌10年からCMキャラクターとして押し出すようになりました」(木幡氏)

 おにおくんの声には、焼きおにぎりと同じく褐色の肌を持つ歌手・松崎しげるを起用。ソウルフルな歌声も話題になり、1~2年ごとに、おにおくんが登場するCMを制作するようになった。さらに14年からは、タレントを起用してパワーアップを図る。

 「例えば氣志團の綾小路翔さんには、おにおくんと同じようにアニメのキャラクターになって出演していただきました。より主婦層ターゲットを意識して、鈴木砂羽さんを起用した年もありました」(及川氏)

 その頃からチームに参加したのが、読売広告社のコピーライターでCMプランナーの永野広志氏だ。