※日経エンタテインメント! 2019年4月号の記事を再構成
斎藤工邸を訪れた雪だるまの「ユッキー」が、家の暖かさのため消滅。残った木の手をスティックにして斎藤がドラムをたたく──。ヒノキヤグループの全館空調システム「Z空調」のCMが、CM総合研究所発表の銘柄別CM好感度トップ10(1月前期)に初めてランクインした。シリーズ誕生の経緯や成功要因とは?
雪の夜、斎藤工の家を訪れたのは、子どもの頃に作った雪だるまの「ユッキー」。一緒に遊んだ日々を懐かしみ、涙ぐむ斎藤。しかしユッキーを家に引き入れると、一瞬にして消えてしまう。そこで突如「Z」の仮面を付けた斎藤が、激しくドラムをたたきながら「Z空調は家の隅々まで暖かい。しかも、経済的」とPRする……。ヒノキヤグループの全館空調システム「Z空調」のCMだ。
「従来の全館空調と比べると、導入コストも電気代もかからない点が売りの商品です。2016年12月の発売にあたり、既存の製品とはまったく違う見せ方をして、企業姿勢も感じてもらえるようにしたかったので、CMだけでなく、商品名からお手伝いをお願いしたいと話しました」(ヒノキヤグループ取締役の荒木伸介氏)
これに応えたのは、クリエーティブディレクター・安永貴氏と、プランナーの吉野万里雄氏を中心とした電通東日本+電通イースリーのチームだ。
「商品を体験した上で、まず名前を考えました。その時にコピーライターが『絶空調』というアイデアを出したんです。家が心地よくて“絶好調”というダジャレですが、そのダジャレ具合がいいなと(笑)。ただ、『絶』にはネガティブなイメージがある。それで同じ音の『Z』に代えてみたら、いろんな意味でハマって。家の図面に『Z』を当てると気流を表しているように見えるし、『Z』はアルファベットの最後の文字なので、これ以上ない『究極の空調』の意味も込められると思いました」(吉野氏)
そしてCMの企画に入った。
「Zを全面に出したキャラクターを出すと、名前が記憶に残りやすい。総合展示場でも、キャラクターののぼりを見て『あそこだ』と思ってもらえる。まずは機能より、イメージ訴求に軸を置いてアイデアを膨らませました」(安氏)
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