※日経エンタテインメント! 2019年4月号の記事を再構成

斎藤工邸を訪れた雪だるまの「ユッキー」が、家の暖かさのため消滅。残った木の手をスティックにして斎藤がドラムをたたく──。ヒノキヤグループの全館空調システム「Z空調」のCMが、CM総合研究所発表の銘柄別CM好感度トップ10(1月前期)に初めてランクインした。シリーズ誕生の経緯や成功要因とは?

2018年12月から放送の第5弾CM「雪だるま編」
2018年12月から放送の第5弾CM「雪だるま編」
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 雪の夜、斎藤工の家を訪れたのは、子どもの頃に作った雪だるまの「ユッキー」。一緒に遊んだ日々を懐かしみ、涙ぐむ斎藤。しかしユッキーを家に引き入れると、一瞬にして消えてしまう。そこで突如「Z」の仮面を付けた斎藤が、激しくドラムをたたきながら「Z空調は家の隅々まで暖かい。しかも、経済的」とPRする……。ヒノキヤグループの全館空調システム「Z空調」のCMだ。

過去4作では初めから「ゼックウチョウ」というキャラクターとして登場していた斎藤だが、今回は初めて素顔からの変身を見せる
過去4作では初めから「ゼックウチョウ」というキャラクターとして登場していた斎藤だが、今回は初めて素顔からの変身を見せる
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斎藤工邸を訪れた雪だるまの「ユッキー」が、家の暖かさのため消滅。残った木の手をスティックにして斎藤がドラムをたたく。ドラムも初挑戦で、撮影前に練習して臨んだという。ラストの「しかも、経済的」という言葉に合わせてユッキーの手を重ねると、「¥」マークになるという決めポーズへのこだわりも
斎藤工邸を訪れた雪だるまの「ユッキー」が、家の暖かさのため消滅。残った木の手をスティックにして斎藤がドラムをたたく。ドラムも初挑戦で、撮影前に練習して臨んだという。ラストの「しかも、経済的」という言葉に合わせてユッキーの手を重ねると、「¥」マークになるという決めポーズへのこだわりも
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 「従来の全館空調と比べると、導入コストも電気代もかからない点が売りの商品です。2016年12月の発売にあたり、既存の製品とはまったく違う見せ方をして、企業姿勢も感じてもらえるようにしたかったので、CMだけでなく、商品名からお手伝いをお願いしたいと話しました」(ヒノキヤグループ取締役の荒木伸介氏)

ヒノキヤグループ 取締役 マーケティング部長 荒木伸介氏 設計事務所などを経て、2002年に入社。商品企画部部長を経て12年より現職。「商品開発も広告も、いかに他社がしていないことをするか、ということにこだわっています」
ヒノキヤグループ 取締役 マーケティング部長 荒木伸介氏 設計事務所などを経て、2002年に入社。商品企画部部長を経て12年より現職。「商品開発も広告も、いかに他社がしていないことをするか、ということにこだわっています」
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 これに応えたのは、クリエーティブディレクター・安永貴氏と、プランナーの吉野万里雄氏を中心とした電通東日本+電通イースリーのチームだ。

 「商品を体験した上で、まず名前を考えました。その時にコピーライターが『絶空調』というアイデアを出したんです。家が心地よくて“絶好調”というダジャレですが、そのダジャレ具合がいいなと(笑)。ただ、『絶』にはネガティブなイメージがある。それで同じ音の『Z』に代えてみたら、いろんな意味でハマって。家の図面に『Z』を当てると気流を表しているように見えるし、『Z』はアルファベットの最後の文字なので、これ以上ない『究極の空調』の意味も込められると思いました」(吉野氏)

 そしてCMの企画に入った。

 「Zを全面に出したキャラクターを出すと、名前が記憶に残りやすい。総合展示場でも、キャラクターののぼりを見て『あそこだ』と思ってもらえる。まずは機能より、イメージ訴求に軸を置いてアイデアを膨らませました」(安氏)

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