満島ひかり演じる女王と、松田龍平演じる執事のやりとりがコミカルなUQ mobileのテレビCMは、2021年9月度の銘柄別好感度で2位に入るなど、好調だ。深田恭子、多部未華子、永野芽郁を起用し、長期シリーズとなった三姉妹シリーズからの大胆な転換の理由を取材した。
現代日本のどこかにあるといわれている宮殿「UQ殿」。そこに君臨する女王「UQUEEN」が、城の人々を集めて宣言する。「これからのスマホは、すべてこの私が決める!」
ざわつく民を見て、「反対意見のある人は、足の指を挙げてくださーい」と呼びかけるが、足の指を挙げられる者はいない。「はい。いないようなので決定でーす」と強引に進める女王。椅子に座ったまま運ばれていく女王を見ながら、「世の中を変えるのは、案外こういう人かもなあ」と執事がつぶやく……。UQ mobileが2021年9月1日にオンエアを開始したテレビCM「UQUEEN」シリーズの第1弾「登場」篇だ。
14年12月に格安スマホのMVNO事業に参入し、16年10月から深田恭子、多部未華子、永野芽郁を起用した「三姉妹」シリーズをスタートさせたUQ。CMのヒットで認知は急上昇したが、大手キャリアから「ahamo」(NTTドコモ)、「povo」(KDDI)、「LINEMO」(ソフトバンク)といった低価格プランが登場し、競争が激化していた。
「低価格帯のブランドが増えて、お客様がサービスを選ぶ理由が、安さだけではなくなってきました。そこでUQの良さを強く、ストレートに伝えていくフレームが必要だと考え、今回の刷新に踏み切りました」(KDDIの合澤智子氏)
企画を担当したのは、三姉妹シリーズを成功させた電通zeroのプランナー・鈴木晋太郎氏だ。
「群雄割拠の市場を、UQが先導しているような見え方にしたい。その象徴として考えたのが、女王でした。UQUEENという名前にしたら、ブランド名とキャラクターが一緒に伝わるし、女王なら言いたいことを忌憚(きたん)なくズバッと言える。サービス内容もしっかり伝えることができます。ただ、上から目線になると嫌われかねないので、どこかチャーミングで愛せる女性にしたいと思いました」(鈴木氏)
女王の相手役として考えたのが、ひょうひょうとした執事だ。
「何を言われても意に介さない、人の話を聞いているのか聞いてないのか分からないようなキャラクターがいると、女王との掛け合いが面白くなるだろうと。また女王との関係性も、単なる上下関係に見えなくなって、懸念していた女王の強さが目立たなくなると考えました」(鈴木氏)
こうして冒頭の「登場」篇と、続く第2弾「懇願」篇を企画。「懇願」篇はUQ mobileの新プラン「自宅セット割」の訴求を目的としたもので、女王が「スマホを月々990円にする。しかも家族全員だ!」と発表しようとして、執事に「リスクが大きすぎます」と反対されるというストーリー。世界観を保ちながら、しっかりとサービス内容を伝えていることが分かる。
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