10年目を目前に控えたサントリー食品インターナショナルの「GREEN DA・KA・RA」。テレビCM「グリーンダカラちゃん」も長寿シリーズとなった。今回は、その原点といえる第1弾から現在までの歴史、目指す世界観を、クリエイティブディレクターの赤松隆一郎氏らに語ってもらう。

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実の姉妹で、姉妹商品を訴求

 2012年、まだ3歳だった女の子「しずくちゃん」をオーディションで選んだ赤松氏(関連記事「「GREEN DA・KA・RA」も鼻歌から 自作曲でつなぐCMの世界観」)。「奔放すぎて、ちゃんと撮れるか分からない」というリスクは、どのようにして乗り越えたのか。

 「3歳なので、『“用意、ハイ”で、あそこまで歩いて、カメラに向かってニコッとして』と言ってもその通りにできないのは当たり前ですし、そうすることでしずくちゃんの魅力も失われてしまう。永井聡監督からも『遊びの延長のように撮影しましょう』と提案がありました。

 そこで市場のシチュエーションを作って準備万全にした上で、カメラを長回ししたんです。そしてしずくちゃんには『あのおじいちゃんのところに走って、もし覚えていたら、あっちのおばあちゃんに手を振ってみよう』というようにゲーム感覚で伝えるというか。

 実際にやってもらったら、やっぱり手を振るのを忘れたんです(笑)。それに途中で気付いて、しずくちゃんがくるりと背中を向けて戻ったんですよ。普通ならNGとなるところだけど、すごく良かったので、ぜひ使いたいなと。他にも、しずくちゃんの小さな手から市場のおじさんに手渡すグレープフルーツが転がり落ちたりとか。それらのアクシデントが宝物になったんですね」

 制作予定は15秒のみ。コンテにない「宝物のカット」を盛り込むには秒数が必要になるため、サントリーの承認を得て、急きょ30秒バージョンも作ることになった。

 「撮影現場で永井監督に相談したら、『明日までに30秒版の歌作れませんか?』と(笑)。その日の夜にホテルの部屋で大急ぎで30秒版の曲を作り翌日の撮影に間に合わせました。その30秒が大ヒットしたんです」(赤松氏がCMソングを作ったことについては前回の記事「『GREEN DA・KA・RA』も鼻歌から 自作曲でつなぐCMの世界観」を参照)

 「グリーンダカラちゃん 登場」篇は、12年度のACC賞スポット部門でブロンズやタレント賞などを受賞。以降、人気シリーズとなる。

 こうして好スタートを切った「グリーンダカラちゃん」シリーズ。その中で赤松氏が「転機として大きかった」と話すのは、翌13年、ダカラちゃんの妹・ムギちゃんの登場だ。

 「撮影現場にはしずくちゃんのご両親も来られてて。抱っこされている妹のなぎさちゃんはまだ赤ちゃんでした。スタッフやみんなと『将来、姉妹で共演しちゃうんじゃない?』と冗談で話していたんですよね。そうしたら、GREEN DA・KA・RAのブランドから『やさしい麦茶』が出ることになった。機能性飲料と麦茶。カテゴリーが大きく違うけれど、個性的な姉妹商品。プランナーの橋本烈くんと企画をしていく中で妹のなぎさちゃんに、『麦茶のムギちゃん』になってもらうのはどうか?というアイデアが生まれたんです」

 実の姉妹で共演した「グリーンダカラちゃんとムギちゃん~海」「同~緑」の2篇は、同年7月度銘柄別好感度で3位になる大ヒットに。それからは、大人になったダカラちゃんが登場したり、映画『未来のミライ』とコラボして2人がアニメになったり、ギターを持って2人が歌ってみたりと、様々な展開を行ってきた。

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