グリーンとゴールドの「キウイブラザーズ」を描いたニュージーランド生まれのキウイフルーツ輸出販売会社・ゼスプリのCMが2020年5、6月度および7月前期で総合1位となった。最新CMを紹介した前回に続き、今回キャラクター作りから人気シリーズとして定着するまでの5年間の軌跡を追う。
<前回はこちら>
ニュージーランドのキウイフルーツ農家によって構成されるゼスプリ インターナショナル。その販売戦略は各国の現地法人が立てており、日本では1992年に設立されたゼスプリ インターナショナル ジャパンが行ってきた。
テレビCMは、2000年代は坂口憲二や蛯原友里、10年代は藤原紀香、石原さとみ、剛力彩芽、瀬戸朝香らが出演。石原や剛力が「キウイーハニー」にふんする作品や、瀬戸が「キウ育ママ」を演じる作品などを放送してきた。そんななか、日本リーバ(現ユニリーバ・ジャパン)から15年に転職してきたのが、現在APACマーケティング本部長を務める猪股可奈子氏だ。
「最初に『ゼスプリといえば、何をご存じですか?』と消費者インタビューを行ったところ、出てくるのは歴代のCM出演者のお名前がメイン。出演者は1~2年で変わってきたので、ブランドとして残っている資産が少ないことが課題だと思いました。
日本人って、そもそも果物を食べないんです。世界的には1日200グラムが平均と言われているんですけど、日本人はその半分の100グラムも食べていない。そんなお国柄の人たちに、どうしたらキウイを食べてもらえるか。リンゴやバナナと比べるとまだまだ身近とはいえないキウイを、どうやったら手に取ってもらえるか……。
そう考えたとき、キウイそのものをコミュニケーションツールとして消費者に届ける戦略が良いのではないかと思いました」(猪股氏)
タレントではなく、キウイそのものをキャラクターにする。このリブランディングにともに挑んだのが、電通のクリエイティブディレクター・北田有一氏だ。
北田氏は、04年電通入社。コピーライター、CMプランナーとしてユニクロやパルコ、東芝などを担当し、20年は綾瀬はるかが出演する「コカ・コーラ」や、中条あやみと水川あさみが姉妹役で共演する「GU」などのキャンペーンを手掛けている。
北田氏が最初に考えたのは「キウイの見た目における魅力ってどこにあるんだろう」ということだった。
「キウイの見た目って、地味なんです。ジャガイモみたいに茶色くて、外側だけ見るとおいしそうに見えない。でも、切ったときの切り口は鮮やかでおいしそうなので、そこがチャームポイントとして残るキャラクターにしたいと思いました。
一方で、中長期的に愛されるキャラクターにしたいというお話もありました。そのためには、とがっていて一見目を引くけど、10年後には古くなるようなキャラクターはダメだなと。切り口を特徴的に見せながらも、普遍性のあるデザインを模索しました」(北田氏)
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