Winkの『淋しい熱帯魚』の替え歌で三姉妹が歌い踊るCMが好感度上位に入ったUQモバイル。過去2回に続く今回は、2019年から始めたダンスシリーズや、ウェブでの展開などを紹介する。
2016年10月にスタートし、狙い通り「垂直立ち上げ」(UQコミュニケーションズの杉浦有衣子氏)に成功したUQモバイルの三姉妹シリーズ。以降、静止画のように動かない三姉妹が、ピンクレディーの『UFO』に合わせて「UQ!」と動き出すフレームが浸透した。しかしCM好感度は徐々に落ち着き、17年度は銘柄別で6位、18年度は14位、19年度は33位となった。
この流れに歯止めをかけるように始まったのが、三姉妹が最初から踊る「ダンスシリーズ」だ。19年11月から放送された第1弾「カントリーダンス篇」では、カントリー調にアレンジした『UFO』に乗せて華麗に三姉妹が歌い踊った。
「このCMシリーズも4年目に入り、『あの三姉妹といえばUQ』という認知が獲得できたので、動くことで鮮度アップにチャレンジしました。ただ、ダンスものは世の中にあふれている。UQならではのアンニュイでレトロなトーンが出せるダンスとして、少し珍しいカントリーダンスを採用しました」(電通のCMプランナー・鈴木晋太郎氏)
こうして「動かない」三姉妹が動き出し、20年1月からは新たな楽曲にもチャレンジ。フィンガー5の『学園天国』を三姉妹と学生が歌う「歌う学生と家族篇」を放送してインパクトを残した。そして3月から放送したのが、『淋しい熱帯魚』の替え歌で歌い踊る「家族でUQモバイル篇」だ。
これらの好評を受けてダンスシリーズが継続しそうだが、三姉妹が動かない「静止画シリーズ」も継続してオンエアしている。今春は「UQ」と「有給」を掛けた「長女のひとり暮らし篇」を放送した。
「静止画シリーズは、ビジュアルの美しさと会話のバカバカしさのギャップにこだわっています。『長女のひとり暮らし篇』では特に、会話のテンポ感と、ネットでもしばしば話題になる『UQ』『有給』の言葉遊びをポイントにしました。今後はダンスシリーズと静止画シリーズを、訴求内容や反響を見ながら、使い分けていければと思っています」(鈴木氏)
三姉妹シリーズを続けて良かった点を、鈴木氏は「UQといえば三姉妹という想起が獲得できたこと。フレームが認知されたことによって、展開の自由度が増したこと」と語る。
苦労した点は「動かないことや、途中で『UQ♪』というフレーズが入る音声構造など、縛りの多いフレームのため、毎回新しい驚きを企画に持たせること」だったという。
こうして長寿化した三姉妹シリーズの効果について、UQの杉浦氏は以下の3点を挙げる。
●立ち上げ時24%だったブランド認知度が、プロモーション開始半年後に90%へ(自社調べ)
●「格安スマホブランド」の純粋想起もトップ2ブランドへ(自社調べ)
●各種第三者評価(J.D.パワー格安SIMカードサービス顧客満足度調査など)でのお客様満足度2年連続No.1受賞
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