深田恭子、多部未華子、永野芽郁ふんする三姉妹が、Winkの『淋しい熱帯魚』の替え歌を歌い踊るUQモバイルのCMが好感度トップ10入り。今回は競合CMを踏まえた上で、三姉妹シリーズの立ち上げや、手掛けたクリエイターにスポットを当てる。

2016年10月から続く三姉妹シリーズ。三姉妹が動かないのは、前後に流れるCMより目立って、目に留めてもらおうという狙いからだという。写真は「長女のひとり暮らし篇」。「UQ」と「有給」を掛けたコミカルな会話で、モバイルネットの「UQ WiMAX」を訴求した
2016年10月から続く三姉妹シリーズ。三姉妹が動かないのは、前後に流れるCMより目立って、目に留めてもらおうという狙いからだという。写真は「長女のひとり暮らし篇」。「UQ」と「有給」を掛けたコミカルな会話で、モバイルネットの「UQ WiMAX」を訴求した

 UQモバイルはMVNO(仮想移動体通信事業者)といわれる通信サービスだ。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクなど自社で回線網を持つMNO(移動体通信事業者)に対し、MNOの回線を借りて通信サービスを行う事業者を示す。

 UQモバイル以外のMVNOは、どんなCMを作っているのか(ちなみに「ワイモバイル」はソフトバンクのサブブランドという位置付けのため、MVNOには含まれない)。

 楽天モバイルは、2015年に本田圭佑を起用してCMを開始。16年には「X JAPAN」のYOSHIKIを、17年にはローラを起用し、「挑戦」を主なテーマに展開してきた。MNOとなった今春からは、ギタリスト・MIYAVIの楽曲を用いたCMを放送している。

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、15年にCMを放送した後は、ウェブメイン。17年の『僕らの恋にはいつも君(ネット)がいた。』、19年の『インターネット彼女』など、ドラマ仕立てのウェブムービーを公開してきた。

 OCN モバイル ONEは、13年からマツコ・デラックスを起用。マツコがロボットと化したり、十二ひとえ姿を披露したりして話題になった。BIGLOBEモバイルは、17年より染谷将太、池松壮亮、山本美月を起用し、18年からは「バイきんぐ」の小峠英二が加入。現在は小峠がカッパにふんしたCMをメインに展開する。そのほかにも、本田翼が『いい湯だな』の替え歌でダンスを披露したLINEモバイルや、葵わかなを起用したmineo、川口春奈を前面に押し出したQTモバイルなどがある。

 全体を見ると、大手キャリアのように年間を通してテレビCMを放送するブランドは少なく、認知獲得後はテレビの出稿を抑えるところが多い。そんな中、UQモバイルはテレビCMを軸に、継続してプロモーション活動を続けてきた。

 UQモバイルのサービスはもともとKDDIの子会社が提供していたが、高速モバイルネット「UQ WiMAX」を展開していたUQコミュニケーションズと合併。15年よりUQコミュニケーションズがUQモバイルも提供するようになった。

 そして16年3月にモデルで女優の堀田茜がピンクガチャ&ブルームクと絡むCMを放送。同年10月末からスタートさせたのが、深田恭子、多部未華子、永野芽郁を起用した三姉妹シリーズだ。UQコミュニケーションズの杉浦有衣子氏は、同シリーズの立ち上げについて、以下のように語る。

 「格安スマホ市場において出遅れていたUQモバイルのブランド認知の垂直立ち上げとともに、『格安スマホ=安かろう・悪かろう』のネガティブイメージを払拭し、シンプルかつそぎ落とすことの価値・魅力を伝えたい。低価格だからこそお客様に選んでいただける、センスのあるブランドに育てたいという目的がありました」

 これに応えたのが、電通のクリエイティブチームだ。かじ取りを行ったクリエイティブディレクターは、篠原誠氏(現・篠原誠事務所)。家庭教師のトライ「教えて!トライさん」シリーズやエステーのCM群で注目を集め、15年にau「三太郎」シリーズを当ててクリエイター・オブ・ザ・イヤーを受賞した。16年にUQを手掛けた当時、「日経エンタテインメント!」の取材で、篠原氏はこのように語っていた。

 「UQモバイルは、まず名前を知ってもらうことが最優先でした。そこで、とにかく『UQ』というブランド名が強烈に記憶に残るような、インパクトのある作りにしようと考えたんです。表現で工夫したのは、違和感を出すこと。CMの競合は、実は他の通信会社ではなく、前後に流れるCMです。前後より目立って、目に留めてもらわなきゃいけない。そのために人が動かない、シュールな一枚絵の時間を作りました」(「日経エンタテインメント!」17年3月号)

 CMには、にぎやかでアクティブな印象を与えるものが多い。静止画のように動かずシュールな会話を繰り広げる「UQ三姉妹」を描くことで、他のCMから浮き立たせようという戦略だった。三姉妹の設定やキャスティングに当たっては、家電量販店などの通信コーナーを意識したという。

 「通信コーナーって、あまり華やかじゃないんですよ。そこに化粧品みたいなポスターがあると目立つんじゃないかと考えて、化粧品の広告を作るつもりで深田恭子さんや多部未華子さん、永野芽郁さんをキャスティングしました」(篠原氏)

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