※日経エンタテインメント! 2020年2月号の記事を再構成

2000年代、洋画風の映像に関西弁のセリフを当てて笑いを誘ったのが、「ホットペッパー」の「アフレコCM」。それが12年ぶりに復活した。本CMの企画からナレーションまで担当したクリエイティブディレクターの山崎隆明氏と、リクルートライフスタイルの村山翔子氏に制作の裏側を聞いた。

カーアクションのド派手な映像に、タクシー運転手と客(急いでます篇)、上司と部下(サラダ篇)、漫才師を夢見る青年(漫才コンビ篇)などのゆる~い会話をアフレコ。山崎氏の“名人芸”で、12年ぶりに視聴者を笑わせた
カーアクションのド派手な映像に、タクシー運転手と客(急いでます篇)、上司と部下(サラダ篇)、漫才師を夢見る青年(漫才コンビ篇)などのゆる~い会話をアフレコ。山崎氏の“名人芸”で、12年ぶりに視聴者を笑わせた

 荒野を爆走する車。ワイルドにドアの外にしがみついた赤鼻の男が、いかついドライバーに話しかける。「運転手さん、もうちょっとだけ急いでくれる?」「それは理由によるな」「今日、彼女とイタリアンでデートやねん」「ホットペッパーグルメで当日予約したか? ぎゅう~」と赤鼻をつまむドライバー。「何で今、ぎゅっとしたん……?」2人の間に微妙な空気が流れる……。

 2000年代、洋画風の映像に関西弁のセリフを当てて笑いを誘ったホットペッパーの「アフレコCM」が12年ぶりに復活。「懐かしい」「相変わらず面白い」などの声があふれた。

 「ホットペッパーグルメは、飲食店の検索やネット予約ができるグルメサイト。近年は、24時間予約ができるなど、機能訴求に力を入れたCMを展開してきたのですが、今回はブランド資産を生かしつつ、サービスの根底にある外食の楽しさ、ワクワク感を表現したいと思いました」(リクルートライフスタイルの村山翔子氏)

 本CMの企画からナレーションまで担当していたのは、クリエイティブディレクターの山崎隆明氏だ。近年は、草彅剛と香取慎吾がミノキ兄弟を演じる「アンファー・スカルプD メディカルミノキ5」などをヒットさせている。

ワトソン・クリック クリエイティブディレクターの山崎隆明氏。1987年、電通入社。関西支社時代に、ホットペッパーや、“つまらん!”の「キンチョール」、「ギャツビー」などをヒットさせ、2009年にワトソン・クリック設立。近年は、“リトルベン”の「TOTO」や、のん出演の「LINE mobile」などが話題に。19年には、ミノキ兄弟の「アンファー・スカルプD メディカルミノキ5」でACC賞グランプリなどに輝いた
ワトソン・クリック クリエイティブディレクターの山崎隆明氏。1987年、電通入社。関西支社時代に、ホットペッパーや、“つまらん!”の「キンチョール」、「ギャツビー」などをヒットさせ、2009年にワトソン・クリック設立。近年は、“リトルベン”の「TOTO」や、のん出演の「LINE mobile」などが話題に。19年には、ミノキ兄弟の「アンファー・スカルプD メディカルミノキ5」でACC賞グランプリなどに輝いた

 「ホットペッパーは、私にとって思い入れのある特別なブランド。それだけにアフレコCMを復活させるのには覚悟が要りました。やるからには失敗するわけにいかないので、まず考えたのは、どういう映像なら今の時代に合うかということ。映像とセリフのギャップが大きいほど面白くなる企画なのですが、以前と同様に八木(敏幸)監督とペアを組み、いろいろな設定を検証しました」(山崎氏)

 そして考えたのが、今回の映像。「砂の惑星という架空の設定で繰り広げられる会話劇です。久しぶりに復活するので、セリフとギャップがあるスケール感あふれる洋画風映像を目指しました(笑)」(山崎氏)。撮影は、海外ロケを敢行。現地の一流スタッフを起用し、本格感のある映像を目指した。

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