オンエアは10日足らずながら、CM好感度トップ10入り、ACC賞グランプリなどの記録を打ち立て、2019年を代表するCMになったブックオフコーポレーションのCM。前2回の記事に続き、その制作秘話とメディア展開、成功要因などを深掘りする。
クリエイティブディレクターであるティー・ワイ・オー(TYO、東京・渋谷)の松井一紘氏の企画2篇に、佐藤渉監督がアレンジを加えたもう2篇を追加し、15秒CMを4本制作することが決定した。
「最初に打診した時の企画では、心くんが普通にセリフを言うだけだったんです。それを演出段階で、『ブックオフなのに本ねぇじゃーん!』と言ったり(心を読める心くん篇)、『冗談よしてや!ブックオフが服とか売るって、フックオフやん!』(冗談よしてや篇)と言ったりと感情を爆発させるものにブラッシュアップしていきました。当初の企画よりも演技力が問われるものにしていったのですが、直接担当者の方に『心くんは天才だと思っています。だからこそ、この企画で次が見たいんです!』とこちらの想いを伝えました。そうしたら理解してくださって、『やりましょう』と言っていただけました」(松井氏)
後に拡散ワードとなる「ブックオフなのに本ねぇじゃーん!」は、実ははじめからあったセリフではなく、より端的にメッセージが伝わるように撮影数日前に生まれたことばだった。ブックオフ自身の自虐にも見えかねないワードに、当初は懸念したが、撮影日当日、寺田心の見事な演技を見た途端、心配が可能性に変わった。また佐藤監督のアイデアで、「お買い上げ、ありがとうございま〜す」とさわやかに客を送り出すカットも撮影し、寺田のギャップを楽しめるようにした。編集段階では、ブランド資産の活用も行われている。
「『♪本を売るならブックオフ』というサウンドロゴは、長年、CMや店頭で流して築きあげたブランドの資産です。マストな条件ではなかったのですが、『新CMでも、うまく使ってもらえたらうれしい』とお話をさせていただいてました」(千田氏)
視聴者が寺田心のセリフをアレンジして拡散
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