5人のイケメン俳優を起用した「#洗濯愛してる会」シリーズが話題となり、5月度銘柄別CM好感度ランキング(CM総合研究所調べ)で1位に輝いた、花王「アタックZERO」。この記事では、競合のCM概況を見た上で、本作を手掛けるクリエイターを紹介。コンセプトワークなども紹介する。

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 まずは競合となる洗濯用洗剤のCMについて、2018年度「生活雑貨業類」CM好感度トップ10を見てみよう。

2018年度生活雑貨類のCM好感度トップ10
2018年度生活雑貨類のCM好感度トップ10
CM総合研究所調べ

 トップ10に5本が入る、圧倒的な強さを見せたのがP&Gだ。小倉優子を主婦役に起用した「ボールド」を2位に、生田斗真が「洗濯科学」の研究者を演じる「アリエール」を5位にランクインさせた。柔軟剤では、マツコ・デラックスが開発や営業の担当者と絡む「レノア」を7位に、鈴木亮平と蓮佛美沙子が出演した「レノアハピネス」を9位に送り込んでいる(19年は沢尻エリカを起用)。

 競合としては、8位にライオン「トップ スーパーナノックス」がランクイン。二宮和也が「その汚れ、受けて立つ!」とさまざまな汚れ落としに挑戦する企画を展開した。19年は洗濯物の分別に煩わされる主婦に「めんどくさくない?」と語りかけるCMなどを放送している。

ラインアップを1本化して誕生

 この中で、6位に入っているのが、花王「アタックシリーズ」だ。18年は6月から「抗菌水に変えよう。」をコピーに展開。アニメ『アタックNo.1』とコラボし、6秒動画を2本繋げたようなユニークな構成のCMで目を引いた。また、豊川悦司が「悪臭菌」を演じるコミカルなCMでも人気を得た。ちなみに近年、「ウルトラアタックNeo」のCMには松坂慶子と木野花、瀬戸康史が、「アタック抗菌EX スーパークリアジェル」には及川光博と田中圭が出演していた。

 これらのラインアップを1本化するという英断を経て誕生した商品が、19年4月1日発売の「アタックZERO」だ。花王が社運をかけたこのプロジェクトのクリエーティブディレクターとして指名したのが、篠原誠氏(篠原誠事務所)だった。

篠原誠事務所の篠原誠氏
篠原誠事務所の篠原誠氏

 篠原氏は一橋大学商学部を経て、1995年に電通入社。営業希望だったがクリエーティブ局に配属され、CMプランナー、コピーライター、そしてクリエーティブディレクターとなった。

 飛躍したのは2010年代に入ってからだ。パイロットやエステー、家庭教師のトライ「教えて!トライさん」シリーズなどで評価を高め、15年にCM好感度の最高記録を樹立する大ヒットとなったのが、auの「三太郎」シリーズだ。以降、深田恭子、多部未華子、永野芽郁を起用したUQモバイル、菅田将暉や石田ゆり子を起用したリクルート「ホットペッパービューティー」など次々に話題作を手掛け、15年のクリエイター・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

 その後も、湖池屋の「PRIDE POTATO」などを含むリブランディングプロジェクト、堤真一や満島ひかりを起用したキリン「一番搾り」、松本人志が怪しい神様を演じるリクルート「タウンワーク」、菅田将暉と中条あやみがドライブしながら名曲を歌うトヨタ自動車「カローラスポーツ」など好感度ランキングをにぎわす作品を数多く放ってきた。桐谷健太が歌う『海の声』や、AIの『みんながみんな英雄』、WANIMA『やってみよう』などの作詞も手掛けて大ヒットさせたことも記憶に新しい。

 篠原氏はなぜ、「三太郎」をきっかけにヒットメーカーとなったのか。

 「それまで僕は、タレントさんが嫌いだったのかもしれません。タレントさんによっては『この企画じゃできない』という人もいて、『企画変えてまでやってほしくない』と思ってた(笑)。だからなるべくノンタレで、オーディションで選んだ俳優さんにお願いしていました。でも三太郎役をお願いしたお三方(松田翔太、桐谷健太、濱田岳)は企画を理解して、どうやったらよりよくなるかという視点でやってくれたんです。

 そうして初めて有名な人でやったら爆発的なことが起きて、『あ、やっぱりメジャーな人ってすごいな』と思った。企画重視のやり方で、企画の仕方も変えてないんですけど、それをメジャーな方でやると、違うんですよね。メジャーな方というか、お芝居のうまい方。すしでいうと、握り方は変えてないけど、ネタを良いものにしたらおいしいんだなと分かった感じです(笑)」

 18年には電通から独立し、篠原誠事務所を設立した。

 「以前は部長会とか評価会議とかたくさん会議があったんですけど、一切の会議と、それ系のメールがなくなって楽になりました。仕事自体がやりやすくなったとかいうことは特にはないです」

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