旬のイケメン5人を起用した「#洗濯愛してる会」シリーズで、CM好感度ランキング1位に輝いた花王「アタックZERO」。人気クリエーティブディレクター・篠原誠氏(篠原誠事務所)は、キャスティングについてどのように考え、実際にどう制作したのか。
洗剤CMの常識を覆し、主婦もメーカーの人も出さない――。そう考えた篠原氏が花王に提案したのは、5人のイケメン俳優を出演させる企画だった。洗剤CMにイケメンが出ることはこれまでもあったが、5人の一挙起用は例を見ない。前回の記事で篠原氏が競合とした通信会社の豪華なCMに「当たり負け」しないために、数が必要だったのだろうか。
「いや、イケメン俳優を5人そろえれば勝てるってことでもないんです。俳優さんは演じてナンボ。例えば『古畑任三郎』を田村正和さんが演じたから人気が出たわけだし、auの『三太郎』も、あの3人が演じたからハネた。企画と人がセットになったときに、初めて爆発するんです。実際、世の中には有名なタレントさんを5人くらい集めたCMはたくさんありますよね? だからといってそれだけでは注目してくれない。どんな企画で、どういう出方かが大事だと思うんです」(篠原氏)。
アタックZEROは、「#洗濯愛してる会」という企画で、洗浄力にこだわる人、消臭力にこだわる人、ドラム式が好きな人など、タイプが異なる「洗濯男子」として5人の若手俳優を起用。その組み合わせには、三太郎やUQなどのタレントCMで得たものが生かされている。
「大事なのは、『これから』という人を1人入れること。例えばUQモバイルのCMに永野芽郁ちゃんを起用したとき、まだ彼女の顔と名前が一致する人はそこまで多くはなかったはず。でもそういう人が、深田恭子さんや多部未華子さんと並んで出ることで『あの子は誰?』と話題になる。しかも、フレームが若く見えるんですよね。既に旬の人を5人出すと、今がマックスで、もう成長する感じがしない。でも新鮮な人が1人入るだけで、全体がまだまだ成長していくように見えるんです」(篠原氏)。
こうして選んだ23歳の新進俳優・杉野遥亮に対する反響が大きく、花王の作成部門広告作成部のクリエーティブディレクター簑部敏彦氏は「ツイッターでも杉野さんへのメッセージが一番多い印象です。『私が育てる!』という感じの熱い女性のコメントが多いですね」と話す。
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