CM好感度ランキング(CM総合研究所調べ)で作品別トップ3に入るヒットとなったLINEモバイルの「LINEモバイルダンス」シリーズ。前回は企画の成り立ちや成功要因などを紹介した。この記事では過去作を踏まえた上で、企画したCMプランナー福里真一氏のクリエーティブについて紹介していく。
LINEモバイルは、LINEが16年9月に参入したMVNO(仮想移動体通信事業者)事業。LINEをはじめ、Twitter、Facebook、Instagramなどの主要SNSのデータ通信量を毎月の高速データ通信量にカウントしない“データフリー”機能やシンプルな料金プランが特徴だ。同年11月から公式サイトに加えてアマゾンでSIMエントリーパッケージの販売を始め、17年3月には家電量販店でも販売を開始した。
このタイミングに合わせてオンエアしたのが、第1弾CM「愛と革新。」シリーズだった。これは壁の前や雑踏の中でたたずむ女優のんが、何も語らず、カメラ目線でこちらをじっと見ているというワンカットもの。当時の「CMフォーカス」の取材で、担当者はこう話していた。
「我々は昨年参入したばかりのチャレンジャー。名だたるキャリアさんとは違う土俵で勝負しようと、このような表現に至りました。CMで訴求するのは『LINE・SNS使い放題~』というテロップと、最後の『愛と革新。』というコピーのみ。要素をそぎ落としたので、CMとして効果が出るのかどうか……正直、オンエアまで肝を冷やしました(笑)」(「日経エンタテインメント!」17年7月号)
「能年玲奈」から改名して間もないのんを、“忖度(そんたく)”せずに起用したことや、シンプルで思い切った表現で注目を集め、17年度の「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」フイルム部門で「ACCゴールド」を受賞するなど高い評価を得た。しかし一方で、一般モニター3000人の月例調査である「CM好感度調査」のトップ10に入ることはなかった。
「前作以上に“よりシンプルにより分かりやすく”を意識しました。今回はよりストレートに、ちょっとやりすぎなくらい分かりやすく、『LINEモバイル』という名前と『月300円から』という数字を記憶に残したいと考えました」(LINEマーケティングコミュニケーション室の宇田川浩彦氏)
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