木村拓哉を起用した新CM効果で好感度ランキングトップ10入りを果たしたサントリービール「金麦」CM。この記事では木村拓哉出演CMの作り方を詳しく紹介、金麦ブランドの他のCM展開についても見ていく。
木村拓哉を起用したCM第1弾「新しい金麦」編。従来とは違う新しさを出すために起用したのが、CMディレクターの川西純氏だ。川西氏は、瑛太が出演する住友生命保険「1UP」や、松本人志出演のリクルート「タウンワーク」(「雪国」編ほか)などのヒットCMを手掛け、サントリーでは「金麦〈糖質75%オフ〉」を手掛けてきた。
「今一番売れている、演出がとても上手な監督さん。ありとあらゆるCMを手掛けていますが、タレントさんの扱いがすごくうまいんです。今回の木村さんの演出も、とても上手に、ほぐれた感じを引き出してくれました」(クロロス クリエーティブディレクターの黒須美彦氏)
スーパーマーケットのセットを建てて行われた撮影では、川西監督の演出に応えながら、木村もアドリブでさまざまな演技パターンを提案。「実際に使用するのは一瞬なので、どこを使うか迷うという、ぜいたくな悩みがありました」とサントリービール宣伝部の中村勇介氏は話す。黒須氏に大変だったことを聞くと、「気遣い」と笑う。
「木村さんも、音楽の小沢健二さんもビッグなので、周りはいろいろ気を遣うんです(笑)。気遣いが重なって大変ではありましたけど、ご本人たちはすごく気さくに楽しんでやっていただきました」(黒須氏)
こうして完成した「新しい金麦」編を2019年2月から放送すると、作品別や銘柄別のCM好感度ランキングで軒並みトップ10入り。そして矢継ぎ早に翌3月から放送したのが、第2弾「幸せな手料理」編だ。
「第2弾では食事に合うことを伝えるのが一番の狙い。家族との食卓を通じて描くため、舞台を家の中にしました」(中村氏)
木村が家のキッチンで羽根付きギョーザを焼き、妻と食卓を囲んで金麦を飲むというストーリー。第1弾と同様、ほぐれた表情の木村を活写したいと、羽根付きギョーザが羽根なしになるなど、一工夫しておいたという。
「もちろん木村さんはそれを知ってるんですよ。でもそういう設定をしておくと、やっぱりほぐれた、いい表情を引き出せる。檀さんもそうなんです。何かに失敗したり、ちょっと跳んでもらったりすると、表情がふわっとほぐれる。そこが狙い目で、撮影する側としては、いろんな設定をしておきます」
女性が輝くCMを撮らせたら右に出る者なしの黒須氏。そのノウハウを男性の木村に応用したのが、今回の新シリーズといえそうだ。
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