DA PUMPやヤバイTシャツ屋さんを起用したシリーズが話題を呼び、2月度銘柄別CM好感度ランキング(CM総合研究所発表)で5位に入った、リクルート住まいカンパニー「SUUMO(スーモ)」のCM。前回は2009年のローンチから現在までのCM展開を紹介したが、今回は担当クリエイターにフォーカスを当てる。
最初に、2019年2月度の銘柄別CM好感度ランキングを見てみよう。3位に「SoftBank」、7位に「ワイモバイル」とソフトバンクの2ブランドが入っているが、それを超える3ブランドをランクインさせた企業がある。リクルートだ。
8位のタウンワークは言うまでもなく、2位の「Indeed Japan」もリクルートのグループ企業(12年に米Indeedを買収)。これら好感度上位常連ブランドに最近加わったのが、リクルート住まいカンパニー「SUUMO」だ。18年から好感度を上げ始め、今年2月、銘柄別5位にまで食い込んだ。
「SUUMOランドとして初めてトップ5にランクインしました。社内でも非常に喜んでいます」とリクルート住まいカンパニーの横山浩美氏は話す。
連呼型のCMでブランド名を刷り込む
オリジナルキャラクター「スーモ」を生み出してCMを手掛けているのは、クリエイティブディレクターの横澤宏一郎氏(BORDER inc.)だ。
横澤氏は、博報堂入社後、セールスプロモーション局を経て、CMプランナーに。その後クリエイティブディレクターとなった。7年間、博報堂の子会社であるクリエイティブエージェンシー「タンバリン」に参加(現在は「ハッピーアワーズ 博報堂」)した後、博報堂に復帰し、16年6月に退社して、7月にBORDER inc.を設立した。
近年の主な作品に、大泉洋を起用した「リクナビNEXT」、山田孝之出演の「PlayStation4」、土屋太鳳や篠原涼子が華麗なダンスを披露してきたダイハツ「BOON」、近藤真彦が「♪ジンジラジンにさりげなく」と歌う「サントリーICE GIN」などがあり、19年は1月から放送されている、岡田准一や白石麻衣らを起用したソフトバンク「ギガ国」シリーズを手掛けて脚光を浴びている。現在、最も売れっ子のクリエイティブディレクターの1人だ。
横澤氏の作品の中でも代表作といえるのが、日野自動車の2トン車「デュトロ」のCM。堤真一とリリー・フランキーがさまざまなシチュエーションで「♪トントントントン ヒノノニトン」というフレーズを繰り返し、新作放送のたびに好感度ランキング上位に入ってきた。
そんな横澤氏が「憧れて、その手法を勉強したことがある」と話すのが、元電通のCMプランナーで、メディアクリエイターの佐藤雅彦氏。電通時代に記憶に残る言葉の作り方を研究した佐藤氏は、湖池屋やNECの仕事に研究結果を応用。「スコーンスコーンコイケヤスコーン」「バザールでござーる」などのリズミカルな連呼型CMでヒットを連発した。「ヒノノニトン」は、まさにその影響が垣間見える作品だ。また「♪ブーンブブブブーン」というCMソングを軸にしたダイハツ「BOON」などもその流れにあるといえる。
「僕の仕事になぜ連呼型や歌モノが多いかというと、認知を上げたいというクライアントさんが多いからなのです。『細かいことはいいから、ブランド名を刷り込んでほしい』というオリエンを受けて、自分に経験値がある連呼型などのプレゼンをすることが多い」
SUUMOのCMもまた、そんな得意技を生かしたCMだ。2009年に「住宅情報」や「フォレント」を統合して「SUUMO」が誕生した際、競合プレゼンに参加して勝ち取った。
「もともと決まっていた『スーモ』という言葉は、響きがいい。佐藤雅彦さんの『♪モルツ~モルツ~』のように連呼型のコマーシャルソングを作りたいと、最初から考えていました。また、いろいろ調査していくと、当時のリクルートさんの住宅サービスには『親しみ』が足りないという結果があったんです。そこで親しみを持てる『キャラクター』を作って展開することを提案しました」
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