ディープラーニング(深層学習)に代表されるAI(人工知能)技術の活用ビジネスで、米国はもとより中国にも大きく出遅れている日本。「世界で勝てる感じはしない、敗戦に近い」という松尾豊・東京大学大学院特任准教授の強い危機感をきっかけに、日本のAIビジネスの現状をリポートした特集の第2回。松尾氏は「ICTで負けたが、ディープラーニングで逆転できるのかなと思っていたが、もう敗戦かもしれない」と話す。
※本特集は書籍『AI後進国ニッポンが危ない! 脱出のカギはディープラーニング人材の育成』から再構成した。

2018年4月11日開催の「新経済サミット(NEST)2018」で開かれたパネルディスカッション「世界のAI戦略の最新動向と日本の立ち位置」で話をする、松尾豊・東京大学大学院特任准教授
2018年4月11日開催の「新経済サミット(NEST)2018」で開かれたパネルディスカッション「世界のAI戦略の最新動向と日本の立ち位置」で話をする、松尾豊・東京大学大学院特任准教授

 ディープラーニングがもたらすインパクトと早期の実用化を数年前から訴え続けてきた、東大の松尾特任准教授はこう言う。「ディープラーニング・ビジネスは出てくると思うが、海外に比べて日本は遅れている感じがする。国内はともかく、世界で勝てる感じはしないし、とても厳しい状況だ。そもそも日本は(コンピューターソフトウエアやインターネットなど)ICT(情報通信技術)で負けたが、ディープラーニングで逆転できるのかなと思っていたが、もう敗戦かもしれない」。

 著者がこの話を聞いたのは2017年夏ごろだったが、松尾氏の危機感は計り知れないものがあった。松尾氏の話を聞いていた著者も、とてもいたたまれない気持ちになったことをいまでも思い出す。

 ところで、読者の中にはディープラーニングのことをあまり知らない人もいらっしゃると思うので、あらためてどんなインパクトを持つAI技術なのか、簡単に説明しておこう。

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