※日経トレンディ2018年7月号の記事を再構成

大量に作って売る従来型モデルからの脱皮を図ろうと、キリンビールがいち早く取り組み始めたのが、工場直送の生ビールを自宅に届ける定期宅配モデル「キリン ホームタップ」。新しいビール体験で顧客の満足度を上げ、ビールファンと長く深く付き合う試みの勝算は?

山形光晴氏
マーケティング部 部長
商品開発研究所 所長

1999年にプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)入社。日本とシンガポールで主にヘアケア商品や化粧品のマーケティングを担当。2015年にキリン入社。キリンビバレッジを経て、17年3月から現職

 人口減少や高齢化が急速に進むなか、大量生産、マス広告による新規ユーザーの“獲得ゲーム”を繰り返す、従来の消費財のビジネスモデルに陰りが見え始めている。そこで注目されるのが、一人ひとりの既存顧客と深くつながり、より長く付き合うことで価値を最大化する「LTV(ライフタイムバリュー)」という考え方。ビール業界初の取り組みが、「キリン ホームタップ」だ。

 月額7452円(税込み)で会員に専用のビールサーバーを貸与し、工場直送の生ビールを家庭に届けるサービス。2017年6月に募集を始め、2000人弱の会員を獲得したが、想定以上の注文が集まったために現在は新規の会員受け付けを中止しているほど。「18年以降に本格展開を始め、数年で万単位の会員を獲得していきたい」(キリン マーケティング部の山形光晴部長)という。

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