2023年もいよいよ本格的な春を迎えているが、今年は例年以上に大きな変化があるシーズンのように見える。例えば、20年春から長らく生活行動に制限を強いてきた新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類変更が迫り、消費市場もようやく本格的なコロナ禍後のステージへと移行する。一方、22年早春に始まったロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギーや原材料価格の高騰、それに端を発した値上げが、消費心理に深刻な影響を及ぼしていくことも懸念される。そのような社会・経済の過渡期において、消費者から好まれるパッケージデザインにはどのような変化が見られたのか。そして今後、さらにどのように変化していくのだろうか。
今回はプラグが2022年11月に実施した25の商品カテゴリー、626商品を対象としたパッケージデザイン好意度調査のデータを基に、22年秋冬シーズンに消費者からどのようなパッケージデザインが好まれたのかを総括したい。22年秋冬シーズンといえば、コロナ禍に伴い実施されてきた海外入国者数制限が撤廃される一方で、食品や飲料、エネルギーなど多くの生活必需品の値上げが本格化し、社会・経済の正常化への兆しと、新たに浮上した生活リスクが消費心理に多様な影響を与えていた時期だろう。そこから見えてくるパッケージデザインの評価傾向と要因を基に、これからのデザインを考えるうえでのヒントとなるよう、いくつかの比較・分析と仮説を踏まえながら展望してみたい。
コロナ禍の過渡期で好まれたデザイン
それでは最初に、22年秋冬のパッケージデザイン好意度調査の結果を概観してみよう(図1、図2)。この調査は毎年春・秋の年2回定期的に実施しており、全国の20~50代の男女を対象として1デザインにつき1000サンプルを回収している。パッケージデザインの好意を5段階評価で回答させて、そのうち「好き」「やや好き」と回答した割合を好意度としている。また好意度理由の自由回答を解析して好意度と関係のあるイメージ(ワード)の出現率を計算している。言い換えれば「好まれるパッケージデザインに消費者が感じているイメージ」となるが、この変化を追うことで、パッケージデザインに対する消費心理の変化を考察することができる。
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