キリンビールの「キリン 一番搾り 糖質ゼロ」、サントリービールの「パーフェクトサントリービール」は、どちらも糖質ゼロで本格的なビールの味わいが楽しめる商品。新型コロナウイルス禍の健康志向とも相まって人気を博している。そんな糖質ゼロビールだが、「パーフェクトサントリービール」は2021年4月に発売したわずか9カ月後、22年1月に早くもリニューアルした。

 今回は「キリン 一番搾り 糖質ゼロ」(A)と、リニューアル後の新「パーフェクトサントリービール」(B)のパッケージを比較した。

 Aは、キリンビールが、同社のフラッグシップである「一番搾り」ブランドから20年10月に発売。21年12月には販売累計約2億5000万本を突破した。これはキリンビ-ルが過去10年に発売したビール新商品の中で最速だという。

 ターゲットはビール好きな人。中でも「ビールを飲みたいが、糖質は控えたい」というビール好きが気兼ねなく飲めるビールを目指した。実際、Aを好む人には、ビール類の飲用量が増加した傾向があるという。

 パッケージのレイアウトは、従来の一番搾りブランドに寄せている。一番搾りブランドの「高品質でおいしいビール」というイメージを継承するためだ。一方、ベースカラーにはこれまでの一番搾りにはない青を採用し、糖質ゼロという新しいイメージを伝えた。そのため「一番搾りの新商品なら試してみたい」と言って購入し、継続飲用した人も多かったようだ。キリンビールによる調査でも、Aの購入理由は「一番搾りシリーズが信頼できる/好きだから」が約4割。ブランドの力が分かる。

 BはAと異なり、サントリービールの新たなブランドとして誕生した。「パーフェクトサントリービール」というネーミングは、「ビールど真ん中のおいしさ」と「糖質ゼロ」の2つの価値が両立できたことを示したという。

 今回のリニューアルでは、よりビールらしい飲み応えを追求するため、原料のダイヤモンド麦芽の使用量を1.3倍に増量した。パッケージも刷新し、これまでとは大きくイメージを変えた。

 新パッケージでは、ベースカラーの「金×濃紺」はそのままだが、缶の上部に新エンブレムを大きく配置し、ビールらしい品質感と品格を強化。同時に「本格ビールのうまさで糖質0」の文言を中央に配置して、商品の特長を分かりやすく訴求した。この文言は、リニューアル前のパッケージにはなかったものだ。

 リニューアル前も売り上げは好調で、発売から21年末までに約200万ケース(大びん換算)を販売し、機能系ビール類市場の活性化に貢献した。一方で、「糖質ゼロのビールが本当においしいのか」と購買をためらう人も一定数存在し、サントリービールとしては商品の魅力を十分に伝えきれていないと感じていた。

 サントリービール マーケティング本部の小笠原 檀氏は今回のデザイン変更の主な狙いを、「店頭での視認性向上」と「製品特長の理解促進」の2つだと話す。

 「旧商品では『本格ビールの糖質ゼロ』という特長を伝えきれておらず、認知度・トライアルに課題があった。21年夏から販促の訴求メッセージを変更したり、新しいCMを投入したりしたことで一定の成果は得られたが、そこからさらに飛躍し、サントリービールの柱となるブランドに育成するため、中味とパッケージを刷新した」(小笠原氏)

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