「人気パッケージ比較調査」の番外編5回目は、市場調査・マーケティングリサーチなどを手がけるインテージが2021年に実施した「画像のデザイン要素解析レポート」の内容を抜粋して紹介する。アジアの生活者に好きなデザインを聞き、その傾向をAI(人工知能)で分析した。すると「直線」のデザインを好む国があるほか、「メタル」「布」など素材についても異なるイメージを持っていることが分かった。各国・地域に適したパッケージデザインが求められる。
調査会社で行う一般的な「デザイン調査」は、クライアント企業のデザイナーがあらかじめ用意したさまざまな画像を生活者に提示し、「この中から好きな画像は何か、嫌いな画像は何か」を聞くという例が多い。さらに生活者に「好きな言葉は何か」「嫌いな言葉は何か」を聞く。こうすることでデザインとワードをひも付け、それぞれのデザインが持つ特性をイメージしやすくしていた。
だがこの場合、調査で使用する画像はデザイナーの視点で選定し、結果はデザイナーが理解しやすい世界観になるケースが多い。生活者が自由な発想で思い浮かべるイメージと乖離(かいり)する可能性が出てくるのではないだろうか。画像の解釈の仕方は千差万別であり、デザイナーによる画像の選択次第で、結果は異なるかもしれない。
そこでインテージは「画像のデザイン要素解析」を推進。特定のテーマに対して生活者が思い浮かべる画像、その画像と結び付くイメージワードを収集して分析し、既存の「デザイン調査」では捉えきれなかった生活者の世界観や価値観を明らかにしようとした。デザイナーではなく、生活者に好きな画像を挙げてもらったほか、それらの画像が持つイメージを知るため、どんな言葉に合致するかを聞いた。
アジア各国・地域で好きなデザインは異なる
具体的には「Q1」として、「見た目・デザインについて、あなたが特に好きだと思うアイテム(商品)の画像をアップロードしてください」「見た目・デザインについて、あなたが特に好きだと思うインテリアの画像をアップロードしてください」と生活者に聞いた。「Q2」では、「あなたがアップロードした画像について、以下の表現はどの程度当てはまりますか」と聞く。「安心感」「伝統的」「機能的」「親しみやすい」「シンプル」「スポーティー」「高級感のある」「スタイリッシュな(洗練された)」「かっこいい」「タフな」の10個の言葉について、「非常に当てはまる」から「全く当てはまらない」まで、7段階で点数を付けてもらった。
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