「人気パッケージ比較調査」の番外編2回目は、ブランド戦略を手がけるバニスター(東京・渋谷)と市場調査・マーケティングリサーチなどを展開するインテージ(東京・千代田)のサービスを取り上げる。両社は2021年9月から共同でAI(人工知能)とアンケートを用いてパッケージデザインの傾向を把握する調査サービスを提供している。特に海外市場に新規参入するときの商品開発に役立つという。
「どんなパッケージデザインにすれば、手に取ってもらえるのか」。新規市場に参入する場合、頭を悩ませる企業は多い。特に文化的・宗教的な背景が異なる海外市場に参入しようとするとなおさらだろう。そんな企業にとって有力なサービスがバニスターとインテージによる「商品パッケージデザインの傾向把握調査サービス」だ。提供を開始して以来、「企業だけでなく海外進出支援をしている団体や地方銀行などからも問い合わせが来るなど、引き合いが増えている」とバニスター社長の細谷正人氏は語る。
ブランド戦略の専門家として、商品パッケージのデザイン作成やブランドコンセプト開発などを担当するバニスターと、マーケティングリサーチで多くの実績と技術を持つインテージが企画・開発した。両社が共同で提供するため、ユーザーからの依頼は両社で対応する。最大の特徴はデザインの嗜好を把握するシステムとして、インテージの「キマルAI」を活用している点。キマルAIは、パッケージのロゴや模様、色といったデザインの素材を深層学習の技術を用いて組み合わせることでパッケージをデザインし、生活者のアンケートでデザインを評価するというプロセスを繰り返す。そして生活者に最も好まれるデザインを見つけ出すというものだ。
遺伝的アルゴリズムを使用し、最適解を探っているという。アンケートなど、評価に人間の反応や回答を用いる対話型の遺伝的アルゴリズムを利用した。「ターゲット層を定めるなど、ユーザーの問題に合わせてカスタマイズできること、また単に新しいデザインを学習させるだけでなく、市場に存在する現行デザインを学習させ、実態に即したデザインを提示できることも大きな特徴」と細谷氏は話す。
デザインの要素を見極める
サービスではまず、デザインの素材を作成する工程から始まる。市場にある主要商品のパッケージを集め、デザインの「要素」を抽出する。ここで生かされるのが、バニスターが持つブランド戦略の専門的な知見だ。
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