生活日用品は、その名の通り私たちの生活に欠かせないエッセンシャルな商品カテゴリーである。必然的に機能性を前面に出したデザインも多い。しかし、近年はその傾向にも変化が見られる。例えば、自然由来の素材(オーガニック)の使用や環境負荷への配慮をパッケージでうたったデザインの商品が増えている。
生活日用品は日常的に使い、毎日身に着けるものだからこそ、主たるユーザーである女性の目線に寄り添った柔らかな訴求が、マーケットのニーズを捉えて、近年の家計支出額の拡大に寄与しているようにも見える。
総務省統計局の家計調査によれば、衛生用品やトイレタリー、生理用品といった生活日用品(理美容用品、保健医療用品)への家計支出額は増加基調にある。特に30代後半~40代が世帯主の家計に絞ると、2017~18年を境に増加が顕著に見える。直近の20年の家計支出額(月額)は、理美容用品で5000円を大きく超え、保健医療用品も同様に3000円の大台を超えた。
具体的に、生活日用品のパッケージデザインには、どのような変化が見られているのだろうか。
まず、パッケージデザインの役割を簡単に整理してみよう。20年を振り返ると、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、小売店舗の利用頻度を減らし、かつ短時間の利用が奨励されてきた。一目で商品コンセプトを伝え、買い手に良い第一印象を感じてもらうことがパッケージデザインの役割であり、その重要さは増していると思われる。第一印象とは、言い換えれば生活者がパッケージデザインを通して、その商品が自分にどのように役立つのかを「意味づける」ことともいえる。その意味づけが何かを知ることは、デザイナーが生活者から求められるデザインを考えるうえで参考となるはずだ。
今回は、それを知るアプローチとして、パッケージデザインが好きな理由につながる生活者が抱くイメージ、すなわち「パッケージデザインに重要なイメージ」に着目した。用いるデータは、プラグ(東京・千代田)が提供しているパッケージ・デザイン・ランキングである。対象商品の好意度と、その理由(自由回答)からなる。
今回は商品を「好き」「やや好き」と評価した対象者の好意度理由を、テキストマイニングの手法により19の言葉に集約した。これらはデザインの第一印象、つまり自分にとってのポジティブな意味づけが集約された「パッケージデザインに重要なイメージ」といえるだろう(図2)。
対象カテゴリーは、「衛生用品」「トイレタリー」など15~21年発売の計331商品を対象とした。具体的な商品カテゴリーは、キッチン洗剤、洗濯用洗剤や柔軟剤、シャンプーやリンスなどのヘアケア、せっけんやボディーシャンプー、化粧水、ティッシュペーパー、生理用品、芳香剤、ハンドクリームなどで、生活日用品の多くが含まれている。分析対象は女性かつ年代を20~40代に絞っている。
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