衣料用柔軟剤の消臭機能については、嫌な臭いを消す消臭・防臭に特化したタイプと、香りに特化した香りタイプ、さらに高価格帯のプレミアムタイプの3種類に分けられる。今回は、消臭・防臭に特化したライオンの柔軟剤「ソフラン プレミアム消臭 ウルトラゼロ」と、P&Gジャパンの「レノア超消臭 1WEEK(ワンウィーク)」のパッケージデザインを比較した。どちらが魅力的に映るのだろうか。
消臭・防臭タイプの柔軟剤の需要は2010年ごろから存在していたが、注目されるようになったのは13年ごろからといわれる。ライオンでも、13年に消臭・防臭に特化した「ソフラン プレミアム消臭」シリーズを発売した。21年4月にAが加わり、ソフラン プレミアム消臭シリーズ全体の21年1~7月の売上額は前年同期比で3%増になった(インテージSRI+調べ)。
「目指したのは、絶対無臭」というコンセプトで、ソフラン プレミアム消臭より高い消臭・防臭力を備える。悪臭のもとを、人が感じる前にブロックして臭いを感知させない「ニオイキャンセリング機能」を搭載。汗臭や体臭・部屋干し臭といった嫌な臭いはもちろん、柔軟剤の残り香もなくした。洗濯中は爽やかな“ピュアソープ”の香りがするが、乾くと無臭になる。そのため、「無臭でありたい」と考える人や、飲食店の店員やホテル関係者など職業柄、強いにおいを避けたい人たちなどに支持されているという。洗濯中だけ香るようにした理由は、「洗濯中は柔軟剤の香りを楽しみにしている」と考える人が多かったためだ。
ライオンによると、近年はZ世代などの若者を中心に「周囲から自分がどう思われているか気になる」「できる限り周囲とは波風立てずに過ごしたい」といった自己防衛意識が高まっているという。こうした意識の変化に伴い、柔軟剤の機能や香りに対するニーズも変化。例えば海外製の柔軟剤がヒットした08~10年ごろからは、香りを楽しむタイプの柔軟剤が注目され始めると同時に「柔軟剤の強い香りが気になる」という層も一定数だが出てきた。20年3月にライオンが行った調査によると、柔軟剤ユーザーの約3割が「嫌な臭いも、香りもあまりさせたくない」と回答している。
「こうしたユーザーを調査すると、洗濯時に柔軟剤の量を減らして使用していることが分かった。そのため柔軟剤の消臭効果を十分に発揮できず、洗濯物に嫌な臭いが発生してしまうという悪循環が生まれていた。ソフラン プレミアム消臭 ウルトラゼロは、こうした新たなニーズに対する選択肢の1つとして開発した」(ライオンのヘルス&ホームケア事業本部ファブリックケア事業部副主任部員の安達理恵氏)
従来の柔軟剤のパッケージでは、花やグリーンのグラフィックを用いて香りを表現することが多いが、Aは花の要素をそぐことで絶対無臭を目指すことを表現した。同時にシルバーを基調とすることで、ジェンダーレスかつ革新的なイメージにしたという。ラベル中央には商品全体のマークである「0.00」と、「無臭のオーラ」を表現した青い丸をデザイン。これまでの柔軟剤とは異なる雰囲気のパッケージにした。
BはP&Gジャパンが21年4月に発売。優れた消臭力に「消臭時間」という概念を追加し、消臭効果が長時間続くという新たな価値を実現した。一般的に、柔軟剤の消臭効果は洗濯後から次第に弱まっていく。Bでは特許を取得した消臭カプセルを配合し、徐々に消臭成分を出すことで、嫌な臭いに長時間対処する。消臭効果は保管状態で約1週間続くという。ラインアップは6種類で、フレッシュグリーン、フローラルフルーティーソープ、リラックスアロマの香りに加えて、部屋干しやスポーツなどに注目した商品もある。
パッケージはP&Gジャパンの「レノア本格消臭」や「レノアハピネス」と同様、容器の上部に穴が開いたユニークな形状。シルバーを基調としており、下部には花のグラフィックを描いた。
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