新型コロナウイルス感染症の影響で家飲みが増加し、缶チューハイ・カクテルなどを購入する人が増えている。日本コカ・コーラによると、酒類の総消費が縮小するなかで、缶チューハイをはじめとした低アルコール市場は過去10年以上毎年成長を続けているという。2021年は、コロナ禍による“巣ごもり”の影響でさらに伸びると考えられる。今回の調査対象は、寶「極上レモンサワー」<すっきり定番レモン>(A)と、「檸檬堂 定番レモン」(B)。
Aは宝酒造が2020年9月に発売した、「レモンサワーフェスティバル」の公認飲料。レモンサワーフェスティバルとは、17年にスタートしたレモンサワー特化型の飲食イベント。累計で12万人以上を動員しているが、20年は新型コロナの影響で8月にオンライン開催した。宝酒造は特別協賛で参加している。
オンライン開催したレモンサワーフェスティバル 2020のテーマは、「レモンサワーで日本を元気に!」。Aのパッケージにも、イベントの楽しさが伝わるようなレモンのキャラクターを描いている。同時に、「おうちで乾杯! レモンサワーフェスティバル気分」というコピーを入れることで「家飲み」を強調した。
Bは、コカ・コーラシステムが発売。「檸檬堂 定番レモン」「檸檬堂 塩レモン」「檸檬堂 はちみつレモン」「檸檬堂 鬼レモン」と、20年12月に新発売した「檸檬堂 カミソリレモン」の全5種類がある。発売以来かなりの人気商品で、コカ・コーラボトラーズジャパンによると、20年上半期の販売数量は計画を上回る422万ケースを突破した。
定番レモン、塩レモン、はちみつレモン、鬼レモンはいずれも九州地区限定で発売した後、19年10月に全国販売を開始した。九州で先行発売した理由は、「おいしい焼酎や日本酒でお酒の舌が肥えた九州の人たちに受け入れてもらえたら、全国でも成功できると思ったから」(日本コカ・コーラの原田朋子氏)。
同商品のコンセプトは、「酒場で飲む、こだわりのレモンサワーが缶チューハイで飲める」。ターゲットは、自分の飲むものに少しはこだわりたい、30~40代の低アルコール飲料を飲む人たちだという。
パッケージは、「前掛け」を意識してデザインした。「檸檬堂のブランドのキャラクターを考えたときに、『まだ若いけれど自分なりに工夫をしておいしいレモンサワーを作っている、職人のような大将』という人物像が思い浮かんだ。『その大将がお客さんを出迎えるときに身に着けている藍染めの前掛け』というイメージのパッケージにした」(原田氏)。前掛け以外にも、グラスやお品書きなど、居酒屋に関連したデザインを考えたが、前掛けが一番しっくりきたという。
同時に、レモンにこだわったお酒であると表現するため、パッケージ中央にレモンのアイコンを大きく配置。その周りにスクイーザー(搾り器)や枝葉、文字、図形を配置することで、「紋」を作っている。
まずAとBの「どちらの商品を買いたいか」(Q1)を聞いた。
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