「限定商品!」と言われると人はついつい買いたくなるもの。では、パッケージに表記された「限定」の文字には、どの程度の訴求効果があるのか。プラグが実施したパッケージデザインの好意度調査のデータから検証した。

 経済学にはスノッブ効果という購買心理を高める理論がある。スノッブ効果とは、人が持っていないものを欲しがる心理が働くことで、限定性や希少性が価値を持つ現象を表している[注]。つまり、人は「限定」と聞くと、簡単には入手できない希少価値の高い商品と感じ、需要が増すということだ。

注:経済学者、ハーヴェイ・ライベンシュタインの論文「消費者需要理論におけるバンドワゴン効果、スノッブ効果、及びヴェブレン効果」(1950年)

 パッケージデザインにおいても、「限定」と書かれた商品をよく見かける。むしろ、頻繁に見かけるあまり「本当に限定なの?」「どのくらい限定なの?」と疑問を抱くこともあるほどだ。

 そこで、パッケージに「限定」と表記することで、どの程度の訴求効果があるのかを検証した。検証には、プラグが2015 年から毎年春と秋に実施してきたパッケージデザインに関する好意度調査のデータを利用した。対象データは、19年春までの9回分、合計4805商品。調査では、商品のパッケージを消費者に見せ、そのデザインを好む度合いを5段階で評価してもらい、「好き」「やや好き」と回答した割合を好意度とした。また、好む度合いの理由を自由回答で聴取している。

約1割の商品で「限定」を表記

 4805商品のパッケージについて、「限定」に関連する記載の有無を調べ、集計した結果、約1割(464商品)が該当した。なお、調べる際は消費者にパッケージを見せたときと同じ環境になるよう、商品ではなく画像目視(一部は光学的文字認識のOCR で処理)で行っているため、側面や背面といった箇所に記載されているものは識別できていない。

限定の訴求パターン
限定の訴求パターン

 「限定」の訴求方法は上の表のように大きく6つのパターンに分けられた。最も多かったのは発売期間を限定するもので、「期間限定」や「春限定」「秋限定」などが記載されており、計272商品が該当した。次点が「数量限定」や「限定出荷」「限定アイテム付き」「限定フレーバー」など発売量の限定を示唆するもので、115商品が該当した。期間限定と発売量限定の2 パターンで、全体の83%を占める。

カテゴリー別「限定」商品割合
カテゴリー別「限定」商品割合

 カテゴリーによって、「限定」がうたわれた商品の割合は大きく異なり、使われる訴求パターンにもそれぞれ特徴が見られる。

 「限定商品」の割合は、チューハイ・カクテルやビールでは半数近くにも及ぶ。全体的には、飲料や菓子類で多く使われており、食品やトイレタリーカテゴリーでは少ない傾向にある。バラエティーシーキング(特定ブランドだけでなく複数のブランドの商品を購入しようとする行動のこと)が起こりやすいカテゴリーで「限定」が多く使われ、反対に定番感や安心感が重視されるカテゴリーではあまり使われない傾向にあるようだ。

 チューハイ・カクテルカテゴリーでは期間限定と数量限定が多く使われている。具体的には、期間限定は「キリン 本搾り」で多く、数量限定については「限定出荷」という言葉で、宝酒造の「タカラcan チューハイ」やサントリーの「ー196℃ストロングゼロ」で多い。

 ビールは「限定醸造」という言葉で数量を限定したパターンが多く、同時に「限定パッケージ」が多いのも特徴。「アサヒスーパードライ」や「ザ・プレミアム・モルツ」などは毎年、季節限定デザインを発売することが恒例となっている。アイスやスナック菓子は単に「期間限定」と書かれたものが多い。

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