人気商品のパッケージデザインを調査する本連載。「健康に良いが苦くて飲みにくい」といった印象の青汁のパッケージを検証した。最近は、食生活の改善やダイエット、むくみ防止などの効果を期待して飲む人が増えているという。

 豆乳や果汁と青汁を混合した商品も登場し、飲みにくいという印象も変わってきた青汁。そうした最近の青汁の中から、今回の調査対象に「AOJIL(アオジル)」(A)と「毎日1杯の青汁」(B)を選んだ。「どちらの商品を買いたいか」(Q1)と聞くと、全体ではAが53.3%、Bが46.7%だった。

 AOJIL は、2019年4月にカゴメが発売した商品で、ミレニアル世代(現在の20~30代)を主なターゲットに設定している。日本人全体の中でも、この世代の野菜不足は深刻だ。厚生労働省の国民健康・栄養調査(17年)では、成人1人の1日に必要とされる野菜摂取量350グラムに対して、20代は242.8グラム、30代は244.8グラム。かなり不足している。

 カゴメは、ミレニアル世代にインタビューを重ねるうちに、2つのウォンツがあることに気づいた。1つは、「自然の力で必要な栄養素を満たしたい」、もう1つは「自然の力で体と心を浄化したい」。

 これらのウォンツに応える飲料として、野菜と果物で栄養素を補給できる「ONEDAY」と、緑黄色野菜で体内を浄化できるAOJILを発売した。さらに、これらの発売に合わせて、若者に人気の芸能人やアーティストを起用した動画CMを配信する「GO! ME.」プロジェクトを開始した。

 Aのパッケージは、キャップ式の紙パックで背景に葉脈まではっきり見える緑の葉を大きくプリントしているのが特徴。青汁をローマ字表記すると「AOJIRU」だが、商品名を「AOJIL」とすることで、従来の青汁とは異なるイメージを訴求している。

 一方、Bは、12年9月に伊藤園が発売。青汁が苦手な人でもおいしく飲めるとして、発売以降6年連続で販売数が伸びている。無糖タイプの他に、豆乳を加えた「まろやか豆乳ミックス」、柑橘系の味わいを加えたフルーツ味などがあり、それぞれ液体と粉末を発売している。粉末タイプは、飲みながら濃さを調節したり、牛乳やヨーグルトに混ぜたりできる。家庭用や自動販売機用のパッケージとして、ペットボトルや大きめの紙パックも用意している。

 自分の好みやライフスタイルに合わせて選べることもあり、年齢性別を問わず支持されているという。パッケージは、従来の青汁を想起させる王道のデザイン。緑を基調とし、コップに入った青汁や野菜のイメージを描いている。

20代男性は従来型デザインを支持

 Q1の結果を男女別で見ると、男性の支持率はAが50.7%でBが49.3%。女性はAが56.0%でBが44.0%だった。Aは、女性の支持率が高い。

 Aのターゲットである20、30代はどうか。男性20代ではAが40.0%、Bが60.0%でBの支持率が高かったが、それ以外はAの支持率が高い。Aのパッケージはおおむねカゴメの狙い通りの効果を上げているようだ。興味深いのは、ミレニアル世代ではない男性60代のAの支持率が60.0%と高い点だ。男性20代は昔ながらの青汁、男性60代は新しいイメージの青汁を支持するという皮肉な結果だ。

 ちなみに、女性60代を見るとAが46.7%、Bが53.3%とBの支持率が高いものの、女性40代の63.3%はAを支持していた。新しい青汁のイメージは、若者以外にも好印象を与えていると言えそうだ。

 「パッケージから感じるイメージ」(Q2)では、Aは「おしゃれな感じがする」が79.0%、 「高級感がある」が72.3%、「デザインが好き」が64.0%、「飲みやすそう」が56.7%と続いた。パッケージの雰囲気に加えて、飲みやすいイメージを伝えることに成功している。

 同じくBは、「親近感がある」が72.3%、「健康に良さそう」が62.7%、「家族で飲みたい」が61.0%、「野菜感がある」が59.3%と続いた。商品に対する親近感や、健康に良さそうな印象が家族で飲みたいというイメージを想起させるようだ。

 通常の青汁の価格が140円だった場合、「Q1で選んだ商品がいくらまでなら買うか」(Q3)と聞くと、Aは+8.6円、Bは+8.7円とほぼ拮抗している。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>