今回の調査対象は、手軽に飲める発酵飲料として注目され、市場が拡大する容器入りの甘酒。パッケージデザインについては、健康に良いイメージや醸造会社の技術力を示すフレーズを評価する声が目立つ。

人気のポイントは発酵・麹

 デザインの良いところ、悪いところを聞いた(Q5)。Aでは、「発酵食品」「麹(こうじ)だけでつくった」のテキストを評価するコメントが多かった。

 「発酵食品」に対しては、「健康に良さそう」「麹だけでつくった」に対しては、「余計なものが入っていない」というコメントが多かった。どちらも、健康に良さそうなイメージを伝えている。「コンセプトが分かりやすい」(男性30代)という点でも好評だった。

 「麹だけでつくったあまさけ」のロゴも人気だ。「“あまざけ”ではなく“あまさけ”なのが新しい」(女性40代)「“あまざけ”と濁っていないことに好感が持てる」(男性30代)と、「あまさけ」の表現は狙い通りの効果を上げていることが分かる。

 一方で、「漢字で“甘酒”のほうが分かりやすい」(女性20代)と、かな表記に対してネガティブな反応もあった。パッケージのイメージから、従来の「甘酒」を想起する人も多かったようだ。

 一方、Bでは、背景にプリントした桜のグラフィックや「黄桜」のロゴに対して、肯定的なコメントが多かった。「白地に銀色の桜のモチーフが、シンプルだけど繊細できれい。その中に1点だけある黄色の花弁も目を引く」(女性20代)と、グラフィックとロゴのバランスを褒めるコメントもあった。パッケージの形状に関しても、「チルドカップでストロー付きなので気軽に飲めそう。味も飲みやすいのではないかと期待」(女性30代)と好評だった。

 「アルコール0%」の表記も注目されていた。「ノンアルコールとはっきり表示するのは良い」(女性50代)、「ちょっと一息つきたいときにも、安心して飲める」(女性20代)など、「安心できる」「シーンを問わず飲める」という評価が目立つ。甘酒といえばアルコールというイメージがある人も多いのだろう。同社の提案する「カジュアルに楽しむ」スタイルが支持されている。

 またBでは、醸造会社の製品である点も評価された。「醸造会社がつくっているからおいしそう」(男性50代)、「伝統があり品質が良さそう」(男性20代)と、商品の本格感を指摘する声が多い。一方、Aの場合は、同じ醸造会社でも「HAKKAI-SAN」の表記が小さいため、八海醸造の商品だと気づく人が少なかったようだ。

日常的に飲む人は5%足らず

 「あなたは甘酒を飲んだことがありますか」(Q6)という質問では、全体では「飲んだことがある」が64.0%、「飲んだことがないか、ほとんど飲んだことがない」が31.7%、「日常的に飲む」が4.3%だった。「飲んだことがある」が最も多かったのは60代の71.7%で、「飲んだことがないか、ほとんど飲んだことがない」が最も多かったのは20代の40.0%だった。

 最後に「あなたは、甘酒を飲んでみたいと思いますか」(Q7)という質問をしたところ、全体では「飲んでみたい」が49.7%、「美容や健康に効果的なら飲みたい」が30.0%、「飲みたくない」が20.3%と続いた。「美容や健康に効果的なら飲みたい」と答えた人が最も多かったのは、30代の43.3%だった。甘酒の機能を分かりやすく伝えることで、30代を中心にさらに需要が拡大する可能性がある。

八海醸造では、Aの人気を受けて甘酒をシリーズ化した。左は、2017年8月発売の「乳酸発酵の麹あまさけ」。Aを乳酸発酵させることで、より爽やかな飲み口を実現。乳製品を使用していないため、乳アレルギーの人でも飲める。右は、18年10月発売の「麹だけでつくったすっきりあまさけ」で、Aよりもさらにすっきりとした飲み口で、温めてから飲んでもおいしい
八海醸造では、Aの人気を受けて甘酒をシリーズ化した。左は、2017年8月発売の「乳酸発酵の麹あまさけ」。Aを乳酸発酵させることで、より爽やかな飲み口を実現。乳製品を使用していないため、乳アレルギーの人でも飲める。右は、18年10月発売の「麹だけでつくったすっきりあまさけ」で、Aよりもさらにすっきりとした飲み口で、温めてから飲んでもおいしい
【interview】“本格”のイメージをデザイン
勝又沙智子氏 八海山 商品開発・営業企画室長

 八海醸造では、ほとんどの商品デザインを一人のデザイナーに委託している。「麹だけでつくったあまさけ」のパッケージも、そのデザイナーが手掛けた。デザイナーにはまず、実際に商品を飲んでもらい、商品の味やイメージを知ってもらうことから始めた。「あまさけ」と表記するアイデアも、そのデザイナーからの提案だった。
 デザイナーには、「独自の品質を表現するため、シンプルな中にも特別なものが感じられるデザインにしてほしい」とお願いした。日本酒造りの現場では「一麹、二もと、三造り」という言葉があるくらい、麹が重要。私たちはその麹造りに自信があったので、「蔵人の技術力で造る麹甘酒」を売りにしようと考えた。
 パッケージに、「本格仕込み」「伝統飲料」などの表記を入れることで、商品にある「本格的」なイメージを強調するデザインがヒットにつながった。

●調査の概要
2018年10月中旬、インターネットを介してアンケート調査を実施。有効回答数は男性150人、女性150人の合計300人。20代、30代、40代、50代、60代の各世代とも男女30人ずつ。
調査協力:クリエイティブサーベイ
https://creativesurvey.com