「表参道でジョージアヨーロピアンの飲み比べに参加しました!レギュラーコーヒーよりも香りが高い #ヨーロピアン驚きの体験」――。
今年のゴールデンウイーク期間中、日本コカ・コーラの缶コーヒーブランド「ジョージア」の「ヨーロピアン」シリーズに関するツイートが飛び交っているのが目に留まった。同社が4月6日~5月31日までの期間限定で東京・表参道にオープンしたリアル店舗「コーヒーハウス ヨーロピアン」での試飲イベントレポートだ。イベントは昨春に続いて2回目。来場者数、クチコミ数ともに昨年を大きく上回った。
ヨーロピアンシリーズは昨年春に全面リニューアルをしている。スペシャリティコーヒー専門店の猿田彦珈琲の協力を得て、原材料や焙煎、抽出にこだわった製法で従来の缶コーヒーを超える味わいを目指した。昨春の試飲イベントは、マグカップで提供したコーヒーを来店客が飲み干すとカップの底に「実は、缶コーヒーでした。ジョージア ヨーロピアン」というメッセージが表れるシカケだった。
飲み比べ写真が拡散
今春はさらに工夫を凝らした。メニューに「香るブラック」「熟練ブレンド」などヨーロピアン4シリーズを記し、注文を受けると、ヨーロピアンとヨーロピアンが目指したレギュラーコーヒーが入った容器2つを給仕。容器を持ち上げると底に「実はジョージアヨーロピアンでした」「実はレギュラーコーヒーでした」と答えを記した。そして店員がこう告げる。
「TwitterかFacebookのアカウントをお持ちですか。お代は味の感想をコメントしてください」。来店客に配布する冊子にも、「#ヨーロピアン驚きの体験」のハッシュタグを付けて投稿してほしい旨記した。来店客の過半数はSNSアカウント開設者で、未開設者には感想を書いてもらうカードを配布。これをブランドサイト上で公開している。

期間中の来店客数は昨年を上回る1万人弱。SNS投稿が表示されるファン・フォロワー数を合算したリーチ数は昨年比で4倍に達したという。
この企画を実施した同社マーケティング本部コーヒーグループシニアマネージャーの中村愛子氏は、「ドリップしたコーヒーに比べれば缶コーヒーは味わいで劣るという、長年そう思われてきた先入観、固定観念がどうしてもある。それを崩していくには、一方的においしさを訴えるだけでは響かない。『本当だ』と感じた消費者の生の声が欠かせない」と説明する。
味に自信があればこそだが、レギュラーコーヒーと飲み比べをしてもらうことで、飲み当てるイベント性が高まった。また、外見が同じ2つの容器が並んだトレーは格好の被写体になり、飲み比べ写真がSNS上を飛び交って、リツイート・シェアを誘発する要因にもなった。
表参道限定のため飲み比べ体験ができる人は限られる。それでも飲み比べるコンセプトがメディア関係者の目に留まり、地方テレビ局の情報番組など8番組でこのイベントを取り上げ、缶コーヒーの味の進化に言及する放送があったという。
「お代はSNSで」と頼まれなくても写真を撮りたくなる、感想をツイートしたくなる、そんな自発的行動をうながすイベントが、新たな缶コーヒーファン層の開拓に一役買った格好だ。