検索連動型広告、ディスプレイ広告、リターゲティング広告、メールマガジン、電話営業…。マーケティングに力を注ぐ企業の多くは、こうした様々な施策を展開していることだろう。しかし、施策が増えるほど、効果分析が複雑になり、それぞれの施策の本当の成果が見えにくくなりがちだ。こうした課題を解決すべく、施策の重複をなるべく減らして、コスト効率の最適化に取り組んでいるのが、求人情報サービスのリブセンスだ。取り組みによって、「ROI(投下資本利益率)は取り組み前と比較して、約30ポイント改善」(キャリア事業部の岩崎亮氏)する大きな成果につながった。
リブセンスも以前は、課題を抱えていた。例えば、広告からサイトを訪問して、会員登録とメールマガジンの登録をした人がいたとする。その人がその後に、広告やメルマガに接触して求人に応募した場合は、「広告とメルマガの両方にコンバージョン(CV)のフラグが立ってしまい、本当の効果が分かりづらかった」(岩崎氏)。
独自の解析ソフトで広告効果測定
そこで、1月から取り組み始めたのが、見込み客の中から、マーケティング施策における接点の重複率の高い人を除外するという取り組みだ。同社は「Google Analytics」を参考に、自社のマーケティングに合わせて開発した解析ソフト「リブセンスAnalytics」を持つ。基本的にはアクセスログとCookie(クッキー)をひも付けたもので、サイト訪問者ごとの訪問から応募、採用に至るまでのプロセスを一環して分析できるソフトとなっているという。
このアクセス解析ソフトから、接点の重複率が高い人を割り出して、広告配信の対象から外す。「とりわけ、メルマガ登録者や電話番号の登録者は、広告と比較して安価なコストの手段でアプローチできるため、除外する」(岩崎氏)。そうすることで、メルマガ、電話、ネット広告のそれぞれの成果を把握しやすくなる。
ただ、ネット広告においても検索連動型広告や、DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)を活用した広告配信や、広告配信事業のCRITEO(東京都品川区)が提供するリターゲティング広告など、様々な施策を取り入れている。そこで、ネット広告において各施策ごとの効果を分析するために取り組んでいるのが、アトリビューション分析だ。アトリビューション分析は、CVに直接結びついた広告だけを評価するのではなく、CVするまでに接触したマーケティング施策もCVに寄与したと見て評価する手法だ。

リブセンスでは、最初に接触した広告を、新規に見込み客を連れてきた施策として、最終的にCVにつながった広告とほぼ同様に、高く評価するようにスコア設定している。上図は、分析手法を単純化したもの。例えば、最初に接触した広告のCVに寄与した効果を「4」、次に接触した広告を「1」、そして最終的にCVにつながった広告を「5」といった比率で評価する。
こうして、マーケティング接点の重複率を減らしたり、各ネット広告ごとの成果をより精緻に評価したりすることで、とくに成果の高い広告に高いCPA(顧客獲得単価)で出稿できるようになる。これにより、リブセンスと比較して広告予算が潤沢な大手企業との競争を可能にして、顧客獲得につなげた結果、ROIの大幅改善につながった。