日本テレビ放送網は、深夜帯に放送している通販番組「日テレ ポシュレ」で、問い合わせルートとして新たにLINEのアカウントを開設し、その実用性の実験に取り組んでいる。企業とユーザーが個別に双方向でコミュニケーションできるLINEの法人向けサービス「LINEビジネスコネクト」を採用。同社通販のコールセンター運営で実績のあるトランスコスモスが、LINE専用の問い合わせ対応をサポートする。電話、Web入力フォームに続く問い合わせチャネルの多様化で、新たな顧客層を取り込みたい考えだ。

日テレ通販LINEアカウントの問い合わせ対応例

 LINE対応を進める背景には、注文のスマートフォン経由比率の高まりがある。日本テレビ事業局通販事業部担当副部長の筒井亥彦氏は、「約10年前の番組開始当初は電話とネットの割合が9対1だったが、今はだいたい半々。若い人も対象の商品なら逆転する。ネットの内訳もかつてはパソコンが圧倒的だったが、今はスマホが逆転する勢い。テレビを見ながらのスマホ操作は相性がいい」と説明する。

 筒井氏がLINEの採用で期待するのは、もっと気軽にショッピングを楽しめる、気楽に問い合わせができる環境だ。ふと深夜、つけっぱなしのテレビに気になる商品が放映されていた際、例えば「色違いがあれば検討してみたい」と興味を持っても、わざわざ電話をかけて問い合わせたり、Webの入力フォームに改まって質問事項を書き連ねたりするのは面倒なもの。相当に購入意欲が高くないとその行動には至らず寝てしまう。また、同居家族がいれば深夜の電話ははばかられる。

 しかし番組のLINEアカウントに質問トークができるならば、「さっきの商品、○色はありますかね?」と会話感覚で気楽に、気兼ねなく質問できる。LINEがあることで、こうした“つなぎ止めが”可能になった。

 昨年11~12月に実施したテストでは、LINE専用オペレーターを10人配置。その規模で対応できるよう、大々的にはLINEアカウント開設の告知はせずに、テレビ画面上で「コミュニケーションショッピングはじめました。詳しくはWebで」とテロップを入れることで、LINEでの問い合わせに興味を持った人が友だち登録するようにした。

友だち登録の7割とコンタクト

 LINEでのやりとりに当たっては、応対窓口担当者を「好奇心旺盛な30歳前の女性会社員」とペルソナ設定し、“タメ口”ほど軽くないが柔らかい言葉遣いで、売り込みは極力避け、電話より気楽にトークできるよう場作りに努めた。会話を締めくくる言葉は、電話なら通常「ご注文ありがとうございました」となるが、LINEは「おやすみ~」と友だち感覚で返すことも。問い合わせに回答すると、メール(フォーム)問い合わせの場合は返信が来ることはめったにないが、LINEの場合は、お礼メッセージや「買います」といった手応えのある反応が返ってきやすいという。

 LINE導入の結果、「同番組アカウントは、友だち登録した視聴者の約70%とコンタクトを取ることができ、問い合わせをした人の約半数に、購入ページURLを送ることができた」(筒井氏)。また、電話注文が集中している時間帯もある中、LINEアカウントを持つことで、混雑の緩和に貢献することも見えてきた。

 今春以降は、例えば既存顧客への配送の際、問い合わせ用のLINEを開設した旨のポストカードを同梱するなどして、徐々にLINE問い合わせ枠を拡大していく予定。問い合わせのハードルが下がることは、購入のハードルも下がる効果が期待できそうだ。