当然のことながら、消費行動スコアを落とした企業・ブランドも存在する。ポイントが展開するアパレルブランド「ローリーズファーム」は昨年の消費行動スコアで1位だった。ところが今年はスコアを22.3ポイント落として42位に転落してしまった。

 消費行動スコアを算出する上で重要な、「購入や利用の候補に加えた」が4.1ポイント、「購入・利用した」は7.5ポイント、「繰り返し購入・利用するようになった」は6.5ポイント減少したことが大きく影響した。

前回の消費行動スコア1位のローリーズファームはスコアが急降下

 順位が下がった理由を、ポイントの川村恵生広告宣伝マネジャーはこう分析する。「昨年は、年間を通して『MADE IN LOWRYS FARM』というブランディング施策を実施した。そのためソーシャルメディアで商品を紹介をする機会が大幅に減った。クーポン施策なども実施しなかったことが要因ではないか」。

 MADE IN LOWRYS FARMは5つのテーマに沿って、年間を通じてブランドの世界観を伝えることを目指した。例えば、「ホテル」というテーマでは、東京・渋谷のホテル「グランベルホテル渋谷」の1室を、ローリーズファームがプロデュース。8月1日~10月31日の予約を受け付けた。「非常に好評で、予約開始から数時間で完売した」(川村氏)。

 また、「ホームパーティー」というテーマにおいては、店舗で5000円以上買い物をして応募した人のうち、250組500人をローリーズファームが主催する“ホームパーティー”に招待するキャンペーンを実施した。LINEを含むソーシャルメディアも、同キャンペーンを告知する手段として活用した。「これまでにないキャンペーンだったため、ネタとして話題にしてもらえる機会は多かった」と川村氏は言う。その言葉通り、例えば、「身近な人と話題にした」という項目は13.7%で、昨年と比べて10.2ポイントも高くなった。

 やはり、「昨年は年間を通じて一度もLINEで割引クーポンを送信していなかった」(川村氏)ことの影響は大きそうだ。2013年はLINE上の「友だち」が300万人や500万人などに達した際に、記念としてクーポンを配信していた。クーポンの有無で順位が激変するほど、LINEの影響力が増しているとも言えそうだ。

 以下、Facebookのリーチ率の低下にランキング上位企業がどう対応したのかを見ていくことにしよう。

 ローリーズファームとは全く逆に、ブランディングから商品訴求へとソーシャルメディア活用法を変えたことで消費行動スコアを伸ばし、昨年の25位から8位へと大きく順位を上げたのが「ハーゲンダッツ」だ。消費行動スコアは67.6となった。

Twitterで情報接触する比率が増えた企業・ブランドTOP5

 「2013年はハーゲンダッツというブランド全体でソーシャルメディアを活用した。一方、2014年はハーゲンダッツジャパンが設立30周年ということもあり、大型の新商品なども多かったため、商品軸での活用に変えた」とマーケティング本部の續怜子氏は振り返る。

 具体的にはソーシャルメディアを活用したキャンペーン全体として持っていた予算を、各商品のコンテンツの制作費やTwitterの広告サービスの出稿に充てるなどして、話題の拡散を狙った。

30周年アイスでRT6000件

 最も大きな話題につながったのは、2月に発売したミニカップ商品「30th アニバーサリー サクラ」と「30th アニバーサリー ローズ」だ。30周年というキーワードや、今までにない味ということもあってクチコミを呼び、6218件のRTにつながった。「フォロワーの母数が増えていることもあるが、昨年からRT数が急増した印象がある」(續氏)。

 ツイート方法に工夫を施し、商品の魅力をより効果的に伝えて、情報拡散につなげたのがミニカップ商品の「ショコラミント」だ。

 同商品はミントという商品名を冠している。ミントのアイスクリームと言うと、カップの中身は薄緑色を想像する人が多いだろうが、ショコラミントは白色だ。この意外感を逆手にとって、Twitter上で中身の色を当てるクイズを出題。このクイズ自体も1000件以上RTされたが、翌日にツイートした回答は3000件近くRTされた。こうして発売に向けて継続的なクチコミの拡散を狙った。その結果、「その企業の情報をTwitterで見聞きした人の比率」は上表のように8.1ポイント増加して16.6ポイントとなった。

 LINEも活用している。ハーゲンダッツはカップタイプがメーンだが、バータイプの商品の販売にも力を入れている。昨年10月に発売した「ブルーベリーチーズケーキ」もバータイプの商品の1つだ。この商品のプロモーションでは、スマートフォンで参加すると1000人に商品が当たるキャンペーンを実施。LINEのメッセージなどで告知したところ、延べ56万人が参加した。