クレディセゾンは現在、「セゾンカード」と「UCカード」の認知向上を狙ったブランディング施策「1ポイントにアイがある」を展開中だ。ブランディングにネットメディアを本格活用した施策であり、同社としては初の試みとなる。

 2014年に同社CMに登場し「瓦割り美少女」として有名になったタレントの武田梨奈さんを起用したテレビCMを、2月16日から3月末までに関東地区では約2000GRP(延べ視聴率)出稿。併せて、「web R25」などのネットメディアや「Gunosy」などのキュレーションメディアを活用して、武田さんが登場する動画広告や、動画を埋め込んだディスプレイ広告を集中的に出稿している。

タレントの武田梨奈さんを起用したテレビCMを関東地区で約2000GRP(延べ視聴率)出稿

 「狙いは、他社に比べて手薄になっている20~30代の若年層に訴求して、ブランド認知や好感を大きく高めること。そのためにはネット施策が欠かせないと考えた」。カード事業部営業企画部長兼営業企画部プロモーション戦略グループ部長の相河利尚氏はそう語る。

ソーシャルで費用対効果が5倍に

 クレディセゾンがネット活用に本腰を入れることにしたのは、昨年の「瓦割りCM」の反響が一因だ。

 ワンピース姿で登場した武田さんが、雄叫びとともに足元の瓦を頭突きで割る。そんなCMが流れると「あの女性は誰」「合成ではなく本当に割っているの」といった書き込みがTwitterやFacebookで盛んに拡散した。テレビやネットでの露出を広告効果に換算すると、「掛けたコストの5倍になる」と相河氏は振り返る。

 こうした経緯から、今回は最初からネット重視で施策全体を設計した。具体的には、キャンペーン開始前に、ヤフーやフェイスブック、グノシー、ソーシャルメディアマーケティング支援のトレンダーズなど、20~30社ほどのネット企業からアイデアを募った。若年層にリーチし、ランディングページ(LP)に効率的に誘導するキャンペーンのパートナーとなる企業を選定した。現在は、選定に残った10社ほどによる施策が五月雨式に展開されつつある。

 例えばヤフーでは、動画に関する話題を集めたYahoo!JAPANの「映像トピックス」向けに記事を制作し、動画配信サービス「GYAO!」の動画にインストリーム広告を出稿する。また同社がリクルートホールディングスと共同運営する情報サイトweb R25にも動画を埋め込んだネイティブ広告を出稿。トップページや「オススメ動画」欄に掲載して、LPに誘導していく。ネットや家電製品に関する情報サイト「ギズモード・ジャパン」、コスメやメイクなどの情報サイト「Glitter」、動画情報サイト「grape」など、若年層に強い様々なサイトに出稿していく。

 KPI(重要業績評価指標)としているのはLPへの送客数や動画の再生回数。目標はぜひクリアし、これを皮切りにマーケティングのデジタルシフトをさらに進めたい考え。予算面でも「昨年比で2倍程度をデジタルに投じることになるだろう」(相河氏)というから本気だ。