文具メーカーのキングジムの2014年の社長賞に選ばれたのが、同社のTwitter公式アカウントを担当する広報室の三浦なずなリーダーだ。例年、ヒット商品の開発担当者や開発部門が選ばれることが多く、PR担当者が受賞するのは極めてまれ。Twitterを契機とした新商品の開発や、売り上げへの貢献、テレビなどの取材によるブランディングなど、7つのポイントで評価された。

 Twitterを発端とした商品開発の一例としては、東急ハンズと共同開発した書類ホルダー「キングジム×ハンズ トラベル・オレッタ」が挙げられる。A4サイズの書類を3つ折りにして持ち運べるキングジムの書類ホルダーに、世界各国の電圧とプラグの早見表など旅行に役立つ情報を東急ハンズが付加した商品で、昨年7月に限定販売した。

 事の発端は、東急ハンズのTwitterアカウント宛に届いた、「東急ハンズのロゴ入りの商品が欲しい」という要望だ。直後に、「キングジムに提案してみては」という声が寄せられたことから、東急ハンズがTwitter上でキングジムに商品の共同開発を持ちかけた。三浦氏はこれに応えるため、すぐさま商品開発本部長にかけあい、開発の許諾を得た。

 2社は以前から、Twitter上で互いのフォロワーに商品紹介をし合うなどして、関係性を作っていた。そのため、円滑に話が進んだ。こうして、Twitterがキングジムの商品開発部門と東急ハンズの仕入れ担当者を結びつける役割を担い、共同開発が実現した。

 販売した1000冊は飛ぶように売れた。東急ハンズのEC(電子商取引)サイト「東急ハンズネットストア」の販売分は「数分で完売した」(三浦氏)。店舗販売分も1カ月で完売。「社内でもそのスピードが話題になった」と三浦氏は振り返る。これ以外にも、通販業者から販促の連携を持ちかけられる機会が増えているという。

キングジムのTwitter担当者が社長賞を受賞(左)した際に評価された7つのポイント

エンゲージメント率は他社の10倍

 ソーシャルメディアならではの指標でも大きな成果を上げている。ツイートに対して、リツイート(引用投稿)やお気に入り登録などにつながった比率を示すエンゲージメント率は、他社平均と比べ約10倍高かった。
ロイヤルティの高いフォロワーを集めているから、売り上げ貢献にもつながっていると言えそうだ。

 Twitterで起こった情報拡散をきっかけにテレビや新聞の取材につながるケースも増えているという。昨年8月、「着る布団」として発売した人型の寝袋「エアーマット」がTwitter上で大きな反響を呼び、テレビ東京のニュース番組「ワールドビジネスサテライト」などで紹介された。

 企業におけるソーシャルメディア活用は定着したが、その効果や担当者の評価に悩む企業はいまだ少なくない。そうした企業にとって、キングジムが社長賞を与える際の評価軸は指針の1つになろう。